C・W・ニコル

クライヴ・ウィリアム・ニコル (C.W. Nicol) の略歴と業績

クライヴ・ウィリアム・ニコル（Clive William Nicol, MBE、1940年7月17日 - 2020年4月3日）は、ウェールズに生まれ、日本で活躍した作家であり環境保護活動家です。彼はキラメッセ室戸鯨館の名誉館長も務め、様々な著作で知られています。1995年に日本国籍を取得し、「ウェールズ系日本人」と自称しました。日本での戸籍名は「ニコル シーダブリュー」です。

青年時代と教育

ニコルはウェールズのカーディフ近郊で育ち、母親が強い影響を与えました。彼の実父は戦争中、捕虜となり命を落としました。少年期には体が弱く、同級生からいじめを受けることを経験し、その後の人生に影響を与えるさまざまな出来事が彼をその後の道へ導きました。特に、柔術を学ぶことで自己防衛を考え始め、格闘技に興味を持つようになります。教育の場では、名門のグラマー・スクールに進学し、生物学教師との出会いや環境への興味を抱くことで、彼の道が開かれていきました。

彼は17歳でカナダに渡り、北極圏探検などの極地探検に参加。その後、教育大学に進学したものの、教員になる意志はなく、プロレスリングを始めます。

日本への道

1962年、彼は空手を学ぶために日本にはっきりとした意図を持って渡航します。その後、英会話の講師として働きつつ、カナダに戻り、海洋哺乳類調査員として活躍しました。捕鯨に関しても関与し、調査官として日本に呼ばれるなど、様々な経験を経た後、日本に戻り様々な著作や活動を始めました。

作家としてのキャリア

ニコルは、自然や動物、文化についての洞察を持つ作品を発表し続けました。特に、「風を見た少年」（2000年）のアニメ化など、彼の作品は多方面で評価されています。また、環境保護活動にも力を入れ、1986年には荒れた里山を買い取り「アファンの森」と名付け、再生運動を行いました。1995年には日本に帰化し、地域のエコツーリズムを推進しました。

環境活動と人間関係

ニコルは、特に捕鯨問題について深く考え、日本の文化や漁業を守る立場から捕鯨容認の立場を取りました。晩年にはグリーンピース日本支部とも友好関係を築くなど、活動の幅を広げていきました。彼の思考は非常に複雑で、政治には積極的ではない一方で、自身の経験を通じた発言や活動で多くの影響を与えました。

最後の日々

ニコルは、2011年の東日本大震災後には、震災被災者をアファンの森に招待するなど、地域振興にも積極的でした。2020年4月3日、直腸がんによって79歳で他界しました。その生涯を通じて、彼は自然と文化を重視した活動を続け、日本における重要な活動家の一人として歴史に名を刻むこととなりました。それらの事績は、今なお多くの人々に影響を与えています。

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