C-46 (航空機)

C-46 コマンドーについて

C-46 コマンドー（Curtiss C-46 Commando）は、アメリカのカーチス・ライト社によって製造され、アメリカ陸軍航空軍において広く使用された輸送機です。その名の由来である「コマンドー」は、連合国軍の特殊部隊を指しています。この機体は、史上最大のピストンエンジンを搭載した双発機であり、軍用輸送機としての重要な地位を築きました。

概要

C-46の原型はカーチス社がダグラスDC-3に対抗するために開発した旅客機CW-20です。CW-20はDC-3よりも客室の容量を約40%増やし、36座席を備える設計がなされました。しかし、機体の重量が増加したため、DC-3に対しては平均的な競争力に欠けていました。試作型のCW-20Tは双尾翼形式で製造されましたが、飛行試験においては低速での操作に問題があることが判明したため、すぐに単一尾翼に改修されました。

設計に多くの時間が費やされた結果、C-46は市場に登場する頃にはすでにDC-3が主流となっており、結果的に旅客機としての需要はありませんでしたが、その大きな客室容量に魅力を感じたアメリカ陸軍が採用を決定しました。C-46は強力なR-2800「ダブル・ワスプ」エンジンを搭載し、軍用輸送機としての仕様に変更されました。その後、貨物専用の扉が追加され、地上での荷物の積み込みもスムーズに行えるよう工夫が施されています。

戦争における活躍

第二次世界大戦中、C-46は3,000機以上が生産され、アメリカ軍の輸送機の主要な一翼を担いました。特にアメリカ海兵隊でもR5Cという名称で採用されました。C-46のエンジン出力は2,000馬力級で、同時期のC-47に比べて高い性能が期待される一方、機体の電気系統には故障が多いとの指摘も残っています。

1942年にATC（航空輸送コマンド）が編成され、戦時中の輸送需求が急激に高まると、C-46は前線近くや山岳地帯を越える任務に投入されることになりました。その中でも特に有名なのは「ハンプ超え」と呼ばれる作戦であり、アッサムからヒマラヤを越えて中華民国の昆明に物資を運ぶ任務が行われました。この高度7,000mを超える険しいルートを飛行する中、C-46はその特性を生かし、成功裡に任務を遂行しました。

戦後の運用

第二次世界大戦後もC-46は様々な運用で重要な役割を果たしました。朝鮮戦争やベルリン封鎖の空輸作戦、さらにはベトナム戦争初期にも使用例があります。日本でも1954年から航空自衛隊に供与され、「天馬」や「空のデゴイチ」として親しまれました。これらの機体は、早期のフライトチェック機として利用された他、独自の電子戦機材を搭載した機体も存在しました。1962年には台湾からもC-46が導入され、その後も多くが整備・使用され続けました。

日本国内では、航空自衛隊の基地や博物館にて展示されている他、現在でも一部民間で貨物輸送に用いられています。

要目

全幅: 32.91m
全長: 23.26m
全高: 6.62m
翼面積: 126.34m²
エンジン: プラット・アンド・ホイットニー R-2800-51（2,000HP）×2
空虚重量: 13,608kg
最大離陸重量: 20,412kg
最大速度: 435km/h（高度15,000フィート）
巡航速度: 278km/h
実用上昇限度: 7,470m
航続距離: 5,069km（巡航時）
乗員: 4名
* ペイロード: 兵士40名、貨物6,800kg

映画やアニメでの登場

C-46は多くの映画やアニメにも登場し、特に「ウルトラセブン」第18話においてスカイダイビング用に使用されています。さらには「モスラ」や「モスラ対ゴジラ」では爆撃機としての一場面が描かれ、航空自衛隊の活動を題材にした作品でもその存在感が伺えます。

結論

C-46 コマンドーは、輸送機としての機能のみならず、戦争や民間での多様な運用を通じて、航空史に名を刻んだ名機であると言えるでしょう。

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