C-76 (航空機)

カーチス C-76（キャラバン）

カーチス C-76は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍に採用された輸送機で、その愛称は「キャラバン」です。この機体は、戦略物資の不足に対処するために全木製で設計されましたが、結局、少数しか生産されませんでした。

背景

太平洋戦争が始まると、アメリカ軍は主にアルミニウムの供給が不足する可能性を考慮し、全木製の輸送機の開発をカーチス社に依頼しました。この対応策として、1942年には設計が完了し、1943年には試作機が初飛行に成功するまでに至りました。

機体設計

C-76は、双発で、機体の断面が角型の独特なデザインが特徴です。肩翼式の主翼配置を採用し、降着装置は三輪式であり、機首部分が上に跳ね上がる構造になっています。このため、兵員や物資の搭載がしやすくなっています。また、操縦席は機体の高い位置に設置され、物資の搭載の際に干渉しない工夫が施されています。

アメリカ陸軍は、試験用としてYC-76を11機、量産型のC-76を189機発注したものの、実際に生産が始まる頃にはアルミニウム不足が解消される見込みが立ったため、生産型は5機だけが完成し、残りの機体はキャンセルされました。製造された機体は、その後アメリカ国内の基地で軽い補助的な役割として使用されました。

生産数

結局、生産された機体は合わせて25機で、内訳は試作機11機、増加試作機9機、生産型5機という数字でした。

スペック

カーチス C-76の主な仕様は以下の通りです：

• - 全幅: 32.96 m
• - 全長: 20.82 m
• - 全高: 8.3 m
• - 機体重量: 8,300 kg
• - 全備重量: 12,701 kg
• - エンジン: P&W R-1830-92 空冷14気筒レシプロ星型エンジン（1,050 hp）×2
• - 最大速度: 309 km/h
• - 航続距離: 1,207 km
• - 乗員: 3名 + 兵員20名

このように、C-76は戦時中の特異な背景を持つ機体であり、その開発過程や性能は歴史に名を刻んでいます。生産数こそ限られましたが、戦争という変化に対応した一つの試みとして記憶されることでしょう。

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