C10K問題

C10K問題とは

C10K問題（英語: C10K problem）とは、Webサーバーが多数のクライアントからの接続を同時に処理する際に発生する、パフォーマンス上の課題を指します。具体的には、約1万台のクライアントが同時に接続を試みると、Webサーバーのハードウェア性能にはまだ余裕があるにもかかわらず、レスポンス速度が著しく低下するという現象です。この問題は、特にApache HTTP Server（以下「Apache」）のような、従来のWebサーバーソフトウェアのアーキテクチャに起因します。

原因

C10K問題の主な原因は、Apacheが採用している「プロセスベース」の処理方式にあります。Apacheは、クライアントからの接続ごとに新しいプロセスを生成して対応します。そのため、多数のクライアントから同時に接続があると、それに対応するだけのプロセスが生成されます。しかし、WindowsやLinuxなどのUNIX系OSでは、同時に起動できるプロセス数には上限があり、一般的に32767（2の15乗 - 1）個という制限があります。この上限を超えてプロセスを生成しようとすると、新しい接続は既存のプロセスの処理が終わるまで待機せざるを得ません。これが、C10K問題の根本的な原因です。

回避策

C10K問題を回避するためには、複数のアプローチがあります。以下に主な解決策を挙げます。

1. Nginxなどのイベント駆動型Webサーバーの利用

C10K問題が起きないように設計されたWebサーバーソフトウェア（例: Nginx）を利用することが有効です。Nginxは、接続ごとにプロセスを生成するのではなく、少数のプロセスで多数の接続を効率的に処理できるイベント駆動型アーキテクチャを採用しています。このため、多数の同時接続があっても、リソースの消費を抑えつつ、高いレスポンス性能を維持できます。

2. Node.jsなどの非同期処理モデルの採用

サーバーサイドでNode.jsのような、非同期処理モデルをベースにしたソフトウェアを使用することも解決策の一つです。Node.jsは、単一のスレッドで非同期処理を行うため、多数の接続を効率的に扱えます。これにより、プロセス生成のオーバーヘッドを削減し、C10K問題の影響を軽減できます。

まとめ

C10K問題は、Webサーバーの性能を最大限に引き出す上で避けて通れない課題です。特に、多数のクライアントからの同時接続を想定するWebサービスでは、この問題への対策が不可欠です。従来のApacheのようなプロセスベースのWebサーバーから、Nginxのようなイベント駆動型Webサーバーや、Node.jsのような非同期処理モデルに移行することは、C10K問題を解決する効果的な手段となります。それぞれのアーキテクチャの特徴を理解し、サービスのニーズに合わせて最適な解決策を選ぶことが重要です。

外部リンク

• - Web2.0の先にあるC10K問題
• - The C10K problem

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