Nginxとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

nginx（エンジンエックス）は、Igor Sysoev氏によって2004年に公開された、フリーでオープンソースのWebサーバーアプリケーションです。その設計思想は、高い処理性能、並行性、そして少ないメモリ使用量に重点を置いており、現代のWeb環境における要求に応えるように進化してきました。HTTP, HTTPS, SMTP, POP3, IMAPといったプロトコルに対応し、リバースプロキシ、ロードバランサ、HTTPキャッシュといった多岐にわたる機能を提供します。

幅広いプラットフォームでの利用

nginxはBSDライクなライセンスの下で公開されており、Linux、BSD系OS、macOS、Solaris、AIX、HP-UX、そしてMicrosoft Windowsといった多様なオペレーティングシステム上で動作します。当初はRamblerのウェブサイトのニーズを満たすために開発されましたが、現在では世界中の多くのWebサイトで利用されています。

エンタープライズ版と買収

nginxの開発とサポートは、当初はIgor Sysoev氏によって行われていましたが、後にNginx, Inc.が設立され、エンタープライズ版であるNGINX Plusの販売やサポートを行うようになりました。2019年には、Nginx, Inc.はF5ネットワークスによって6億7000万米ドルで買収されました。

nginxの概要

nginxは、静的コンテンツの高速配信を主な目的として設計されています。リバースプロキシとしての機能により、Webアプリケーションサーバーの背後に配置して動的なコンテンツを配信したり、ソフトウェアロードバランサやHTTPキャッシュとしても利用できます。また、FastCGI, uWSGI, Phusion PassengerといったWebアプリケーションインターフェースを標準でサポートしています。

イベント駆動型アーキテクチャ

Apache HTTP Serverがリクエスト処理にスレッドやプロセス指向のアプローチを用いるのに対し、nginxは非同期のイベント駆動アプローチを採用しています。このアプローチは、高負荷環境下でのパフォーマンスをより予測可能にし、効率的なリソース利用を実現します。

幅広い利用状況

nginxは、Ramblerのウェブサイトで1日に5億のリクエストを処理していた実績を持ちます。2017年の調査では、アクティブサイトの約20％で使用されており、W3Techsの調査では上位1000サイトの41.1%、上位10万サイトの32.9%で使用されています。Netcraftの調査によれば、2020年にはすべてのアクティブなWebサイトの36.48%で利用され、Apacheの利用率を上回りトップシェアとなっています。

主な機能と特徴

ネットワーク機能
10000以上の同時コネクション処理
負荷分散（ロードバランサ）
TLS/SSL
Server Name Indication (SNI)
OCSP stapling
フォールトトレラント性
IPv6
同時接続数や頻繁な接続の制限
帯域制限
IPアドレスベースの地理位置情報
主なHTTP機能
静的ファイル・インデックスファイルの処理、自動インデクシング
仮想サーバ（名前ベース、IPアドレスベース）
FastCGI・uWSGI・SCGIサポート（キャッシュ機能あり）
リバースプロキシ（キャッシュ機能あり）
gzip圧縮・解凍、事前gzip圧縮
URL書き換え
WebSocketとHTTP/1.1 Upgradeヘッダー
FLV、MP4ストリーミング
Webページアクセス認証（HTTP認証）
カスタマイズ可能なログ機能
SPDY、HTTP/2|HTTP_2プロトコルサポート
WebDAVサポート
XSLTサポート
Server Side Includes (SSI)サポート
メールプロキシ機能
SMTP、POP3、IMAPのプロキシ
STARTTLSサポート
その他の機能
動作中に接続を中断することなく、実行ファイルの更新や設定変更が可能
モジュールベースのアーキテクチャ

FreeNGINXの登場

2024年には、コア開発者の一人がF5ネットワークスとの対立から独立し、nginxのフォーク版である「freenginx」を開発すると発表しました。この動きは、nginxコミュニティに新たな展開をもたらす可能性があります。

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