CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜

アルバム概要

『CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜』は、日本の音楽グループTM NETWORK|TM_NETWORKによる6枚目のオリジナルアルバムで、1988年12月9日にEPIC/SONY RECORDSからリリースされました。前作『humansystem』から約1年1ヶ月後に登場し、小室哲哉と小室みつ子が歌詞を担当、作曲は小室と木根尚登によるものです。このアルバムは、少女キャロル・ミュー・ダグラスが異世界で「音」を取り戻す旅を描いたストーリーをテーマにしたコンセプト・アルバムです。

レコーディングとプロデュース

レコーディングは1988年6月から10月にかけてイギリスで行われ、スティーヴ・ナイがミックス・エンジニアとして参加しました。特に注目すべきは、元ABCのドラマー、デヴィッド・パーマーや、松本孝弘（B'zのメンバー）など、多数の優れたミュージシャンが携わった点です。音に対する細かな配慮がなされ、特に小室はエンジニアたちと「無駄な音を省く」というコンセプトを共有。高品質なサウンドを追求しました。スティーヴ・ナイが小室のボーカルや演奏の細かい部分に厳しく目を光らせ、プロデュース作業はその厳しさによって格段に向上しました。

コンセプトとテーマ

小室哲哉はロンドンでのミュージカル体験からインスパイアを受け、プログレッシブ・ロックを基調にしたミュージカル仕立てのコンサートを企画しました。この作品は1988年に制作されつつ、1991年を舞台に設定し、アルバム内の楽曲が物語を引き立てる形で練り上げられました。これにより、聴き手はストーリーを楽しみながら音楽の世界に没入できます。特に「Still Love Her」などの楽曲にはロンドンの情景が反映されており、聴衆の共感を誘います。

音楽性

アルバムには、シンセサイザーを巧みに使用した楽曲が揃っており、メロディの美しさが際立っています。例えば、「BEYOND THE TIME」や「SEVEN DAYS WAR」といった先行シングルは、映画主題歌としても愛される名曲。各楽曲は多様なジャンルやスタイルを取り入れており、特にアート・オブ・ノイズの影響を受けたストリングスアレンジが特徴的な「A Day In The Girl's Life」は注目に値します。

ヒットと評価

オリコンチャートでも最高位1位を記録し、ミリオンセラーを達成。日本レコード協会からはダブル・プラチナの認定も受け、TM NETWORK|TM_NETWORKのヒット作として名を残しました。本作は音楽だけでなく、後に小説やアニメ、ラジオドラマなど多様なメディアによる展開が行われ、大人の音楽～Age Free Music～の中で「もう一度聴きたいオリジナルアルバム」としても選ばれました。

コンサートツアーとその後

アルバムリリースを受けたコンサートツアー「TM NETWORK|TM_NETWORK TOUR '88〜'89 CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜」は大規模に展開され、ミュージカル仕立てのライブが行われました。しかし、公演中に宇都宮が負傷し、日程が変更されるなどの困難も抱えつつ、全63公演を成功裏に終えました。

このアルバムは単なる音楽作品に留まらず、多様なメディアを巻き込んだ広がりを見せた点で、TM NETWORK|TM_NETWORKを代表する1作となりました。

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