CBM3032

CBM3032

はじめに

CBM3032は、1979年にコンピュータメーカーのコモドールから発売されたパーソナルコンピュータです。特にヨーロッパ市場に向けて展開されたCBM30xxシリーズの最上位モデルとして位置づけられます。このシリーズは、同社が先行して展開していた「PET 2001」モデルを基に開発されましたが、「PET」という名称をヨーロッパで商標上の理由から使用できなかったため、「CBM」シリーズとして再設計・出荷された経緯を持ちます。

PET 2001からの改善点

CBM3032の大きな特徴は、前身であるPET 2001で指摘された点を改良したことです。特にユーザーからの不評が多かったキーボードは、従来の簡素なものから本格的なものへと刷新されました。また、メインメモリ（RAM）容量も32キロバイトに増強され、より高度な処理に対応できるようになっています。

主要スペック

CPUはモステクノロジー社の6502（1MHz）を搭載。メモリは32KBです。ディスプレイは本体に内蔵された9インチのモノクロ（グリーン表示）ブラウン管で、テキスト表示は40桁×25行です。

刷新されたキーボード

PET 2001のキーボードは、「マトリックス・キーボード」と呼ばれ、小さく操作性に難があり、印字も剥がれやすいため電卓のようだとも揶揄されました。CBM3032を含むCBM30xxシリーズでは、これらの欠点を解消するため、打鍵感の良い「ターミナル・キーボード」が採用されています。これは後のビジネス向けモデルCBM8032で導入された「タイプライタ・キーボード」とは異なるタイプですが、ユーザーの使い勝手を大きく向上させました。

外部インターフェイス

外部機器との接続用に、カセットテープレコーダー端子、8ビットパラレルポート、そしてIEEE 488バス端子が備わっていました。これらの端子はすべてエッジ・コネクタ形式で提供されていました。

外部記憶装置

カセットテープレコーダー

PET 2001では内蔵モデルもありましたが、CBM3032はキーボードの大型化によりスペースがなくなり、外部接続式が必須となりました。システムは内蔵用と外部用のインターフェイスを持ち、最大2台をサポートできました。PET 2001後期やCBM30xxも内蔵カセットは省略されています。

フロッピーディスクドライブ

高速・大容量の外部ストレージとして、後に5.25インチのデュアルフロッピーディスクドライブ「CBM3040」が登場。IEEE 488バス接続で、ドライブ自体にCPUを持つインテリジェント型です。これにより、ディスク処理を独立させ、複数台接続も可能でした。ただし、複数ドライブ操作では「デバイスナンバー」指定が必要で、操作がやや複雑でした。

価格と関連

1979年発売当時の価格は298,000円。関連として、日本のHAL研究所が、ユーザー独自のキャラクタ表示を可能にする周辺機器「PCG6500」を開発・販売していました。

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