CD選書

CD選書の概要

CD選書（シーディせんしょ）は、日本のレコード会社が1990年代に開始した廉価版の復刻コンパクトディスクシリーズです。このシリーズは、1970年代から1980年代のアナログ・レコードでリリースされたスタジオ・アルバムやライブ・アルバムを、音楽CDが普及する中でCD化して復刻するための名称として使用されました。コンセプトは「音楽の文庫本」であり、手軽に名盤を楽しむことを目的としていました。

発売の背景と意義

日本における音楽CDの商品化は1982年に始まり、CDプレーヤーの普及は1980年代後半から1990年代初頭にかけて進みました。 CD選書は、アナログ時代に制作されていた数多くの名作を、扱いやすく劣化しにくいCDというフォーマットで再び享受できるようにした点が大きな特徴です。このシリーズは、主に1970年代から1980年代の作品を対象にしながらも、1990年代に入ってから発表されたアーティストの作品も適宜CD選書としてリリースされました。 例えば、松田聖子の作品は既にCD化されていましたが、1990年代にはCD選書として新たに販売されました。

価格設定と特徴

新作アルバムの平均的な価格は約3000円ですが、CD選書は1枚約1500円に設定されており、さまざまなアーティストの作品を手軽に楽しむことができます。復刻版は新たにレコーディング費用がかからず、当時の特典（ポスターや写真集など）を省くことでコストを削減しています。また、歌詞カードはシンプルなデザインに統一され、プラスティック製のスリム・ケースが使用されることが多いです。

Q盤と独自企画

CD選書の中で「Q盤」と呼ばれるシリーズも存在します。これは旧譜のクオリティを強調するラベルで、特典として12cmのCDダイジェストが手に入る企画もありました。さらに、CD選書独自のベスト・アルバムや各年代の楽曲を集めたコンピレーション・アルバムも数多く発売されています。

2000年代以降の変化

2000年代に入ると、CD選書の復刻は太田裕美のアルバム以降止まり、高音質を重視した新たなリリースが次々と登場しました。デジタルリマスターされた高品質のCDや、アナログレコードのジャケットデザインを復元した紙ジャケット仕様などが増え、これにより多くの過去の名作が再リリースされるようになりました。しかし、CD選書盤はそのシリーズ独自のブランド価値を持ち、一部の作品は中古市場でプレミア価格で取引されています。

さまざまなレコード会社と廉価版

CD選書の名称を用いるレコード会社は多く、ソニー・ミュージックエンタテインメントやエピック[[レコードジャパン]]などがそれに該当します。他にもポニーキャニオンやJVCケンウッドなど、各社がそれぞれの廉価版シリーズを展開していました。また、ワーナーミュージックやトーラスレコードなども自社の復刻シリーズを持っています。

結論

CD選書は過去の名盤を手軽に楽しむことができる貴重なシリーズであり、多くのファンに支持されてきました。レコードという形での音楽の記憶を、現代の音楽文化に新たな形で引き継いでいます。このシリーズを通じて、音楽の楽しみ方は多様化し、今後もその系譜は続いていくことでしょう。

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