コンパクトディスク

コンパクトディスク（CD）

コンパクトディスク（Compact Disc、CD）は1970年代にソニーとフィリップスが共同で開発し、1980年代初頭に市場に登場した記憶媒体です。このメディアは、金属の薄膜や有機色素をポリカーボネートやガラスなどの保護層で挟み込んだ光ディスクです。レーザー光を用いてデータの読み取りや書き込みが行われ、最初は音楽データの記録用に設計されましたが、後にコンピューター向けのデータ記録にも対応した規格も策定されました。

概説

CDは、初期の光ディスク技術を活用したデジタルオーディオの媒体としても最初のものとなります。樹脂製の円盤には「ピット」と呼ばれる微小な凹凸が刻まれ、これらのピットがレーザー光により読み取られることでデジタルデータとして変換されます。主に直径12cmのディスクが用いられていますが、8cmのものも存在します。

音楽用CD

CDは元々は音楽を記録するために開発されており、音楽用CD（CD-DAとも呼ばれる）の最大収録時間は74分から80分です。音楽CDを再生するために使われる装置はCDプレーヤーと呼ばれ、CDの開発と共にCDプレーヤーの技術も並行して進められました。1982年には最初の商業用音楽ソフトとして数十タイトルが販売され、1986年には年間約4500万枚が販売され、LPレコードを超える記録を打ち立てます。

コンピュータ用CD

データやソフトウェアが記録されたCDはCD-ROMと呼ばれ、1985年から利用されてきました。読み出し専用であり、一般的に640MBから700MBの容量を持っています。ユーザーが情報を記録できるCD-R（記録用）や、何度でも書き換え可能なCD-RW（再記録用）も開発され、CDの利用範囲は拡大していきました。

歴史的背景

CDの開発の歴史は、1970年代前半に遡ります。ソニーの中島平太郎がデジタルオーディオの研究を始め、1973年にはPCM音声を用いた録音機が開発されます。その後、ソニーとフィリップスが共同でオーディオディスクの規格を統一し、1979年に本格的な開発に着手しました。1982年にはCDの生産が始まり、第1号機が市場に登場しました。

普及と影響

CDは瞬く間に普及し、その後の音楽業界に革命をもたらしました。1984年にはCDプレーヤーが価格を下げ、さらなるユーザー層を拡大しました。音楽配信が始まる1990年代後半まで、CDの生産量は増大し続けましたが、この時期から音楽の配信が一般化しつつありました。

近年の動向

2000年代以降、インターネットの普及に伴い、音楽のストリーミングサービスが広がり、CDの売上は減少傾向に入ります。特に2010年代からは、ハイレゾ音源やLPレコードの再評価も進み、CDの売上はさらに厳しい状況へと突入しました。

仕様と構造

CDは一般的に直径12cmまたは8cm、厚さ1.2mmの円盤として設計されており、中央には直径15mmの穴があります。構造としては、基盤層、反射層、ラッカー層、印刷層の4層で形成され、データを読み取るためには780nmの赤外線レーザーが用いられます。データの最小単位はフレームで、音楽CDではサンプリング周波数やビット深度などが用いられ、さまざまな細工が施されています。

結論

コンパクトディスクは、音楽業界だけでなく、コンピュータのデータ保存の面でも重要な役割を果たしてきました。過去数十年にわたり、数多くの技術的発展を遂げてきたCDですが、デジタル音楽の配信増加により、今後の役割が如何に推移していくかが注目されます。

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