CE-20

CE-20は、インド宇宙研究機関（ISRO）の液体燃料推進システムセンター（LPSC）によって開発が進められている、液体水素と液体酸素を推進剤とする高性能ロケットエンジンです。インドが開発した大型打ち上げロケット、GSLV Mk IIIの上段部に使用されることを想定しており、同国の宇宙輸送能力向上において重要な役割を担います。

このエンジンは、インドで開発された液体燃料ロケットエンジンとしては初めて、ガス発生器サイクル方式を採用している点が技術的な特徴です。このサイクル方式は、ターボポンプ駆動用の高温ガスを生成するために燃焼器から推進剤の一部を取り出すものです。

CE-20は真空中での公称推力が200kNですが、運用域として180kNから220kNの間で推力を調整可能です。燃焼室では、液体水素と液体酸素が約6MPaの高圧下で、酸化剤と燃料の重量比5.05の混合比で燃焼します。真空中の比推力は443秒から446秒（通常444秒±3秒）に達し、エンジンの乾燥重量588kgに対する推力重量比は約34.7とされています。

開発は段階的に進められ、2008年には補機レベル試験が完了しました。その後、実際の飛行状況に近い統合システム試験が計画されました。開発過程の重要な節目として、長秒時燃焼試験が複数回実施されています。2015年4月28日には635秒間の燃焼試験に成功。特に同年7月16日には、MahendragiriのISRO試験施設で800秒間という長時間の燃焼試験に成功しました。この800秒は、実際のGSLV Mk III飛行における上段エンジンの燃焼時間の25%以上に相当し、エンジンの長時間安定燃焼能力と信頼性を実証する上で大きな成果となりました。

LPSCが発表しているCE-20エンジンの主な仕様は以下の通りです。

種類：ガス発生器サイクル
推進剤：液体酸素 / 液体水素
真空中での公称推力：200 kN
推力の運転域：180 kN ～ 220 kN (任意の推力を維持可能)
燃焼室圧力（通常）：6 MPa
混合比（酸化剤/燃料の重量比）：5.05
比推力（真空中）：443 ± 3 秒
通常の燃焼時間：595秒
総流量：462 kg/秒
ノズル開口比：100
* 乾燥重量：588 kg

CE-20エンジンの開発は、インドの自立した宇宙輸送能力、特に大型衛星の打ち上げ能力向上に不可欠な要素であり、GSLV Mk IIIロケットの実運用化に向けた重要な技術開発の一環です。

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