CERN httpd

CERN httpd（後にW3C httpdとも呼ばれる）は、1990年にティム・バーナーズ＝リー、アリ・ルオトネン、ヘンリク・F・ニールセンによってCERN（欧州原子核研究機構）で開発が開始されたWebサーバー（HTTPデーモン）です。C言語で記述され、世界初のWebサーバーとして1990年のクリスマスにその歴史をスタートさせました。このサーバーは、初期のインターネットとWebの発展において、非常に重要な役割を果たしました。

歴史

CERN httpdは、当初NeXTSTEPが動作するNeXTcube上で開発されました。その後、他のUnix系オペレーティングシステムやOpenVMSにも移植され、幅広い環境で利用できるようになりました。また、Webプロキシサーバーとしても機能する柔軟性を持っていました。1991年6月には、バージョン0.1がリリースされ、同年8月には、ティム・バーナーズ＝リーがニュースグループ「alt.hypertext」で、CERNのFTPサイトからこのサーバーデーモンやその他のWorld Wide Web関連ソフトウェアのソースコードが利用可能であることを公表しました。これにより、広く開発者や研究者がWeb技術に触れる機会が提供され、Webの普及が加速しました。

このサーバーは、サンアントニオで開催されたHyperText 91で発表され、CERN Program Library (CERNLIB)の一部として組み込まれました。初期のWeb開発において、CERN httpdは中心的な存在であり、多くの開発者がこのサーバーを利用してWebサイトを構築しました。その後のバージョンは、libwwwライブラリをベースとしており、これによりWeb技術の進歩に柔軟に対応できるようになりました。

W3C（World Wide Web Consortium）が開発を引き継いだ後、1996年7月15日にバージョン3.0Aを最後に開発が終了しました。その後、W3CはJavaベースのWebサーバーJigsawの開発に注力することになり、CERN httpdの役割は徐々に終焉を迎えました。しかし、CERN httpdが初期のWebに果たした貢献は計り知れず、その遺産は現代のWeb技術にも引き継がれています。

主な特徴

• - 世界初のWebサーバー: 1990年に開発された最初のWebサーバーとして、Webの歴史における重要なマイルストーンです。
• - C言語で記述: C言語による実装は、高いパフォーマンスと移植性を実現しました。
• - NeXTSTEPからUnix系OSへ移植: 複数のプラットフォームで動作し、利用範囲を拡大しました。
• - Webプロキシサーバー機能: Webプロキシとしても利用可能で、柔軟なネットワーク構成をサポートしました。
• - libwwwライブラリ: 後期バージョンはlibwwwをベースとし、Web技術の進歩に対応しました。

関連項目

• - プロキシ
• - リバースプロキシ

外部リンク

• - the official W3C page
• - The historic web site in the W3C archive of November 1992

もう一度検索