CIM-10 ボマーク

CIM-10 ボマーク (CIM-10 BOMARC) について

CIM-10ボマークは、冷戦時代におけるアメリカ空軍の防空ミサイルシステムの一つで、主にソ連の爆撃機を迎撃する目的で開発されました。このミサイルは、F-99、IM-69、IM-99、CIM-10といった複数の名称で知られ、当初はF-99という名称で運用されていました。これは、無人戦闘機としての設計思想から来ているためで、当時の米空軍はボマークを「最初の無人戦闘機」として宣伝していました。

開発の背景

ボマークの開発は1946年に始まり、当初は陸軍航空省での大型爆撃機に対抗するためのミサイル研究から派生したものです。1949年にはボーイング社と長距離地対空ミサイルの開発契約が交わされ、1951年にはF-99という名称が与えられました。このミサイルの開発は、射程が長いことから周辺国の迎撃戦闘機の開発を停滞させるほどの影響を及ぼしました。初飛行は1952年の9月10日に行われ、1959年4月21日までの間に63回の発射テストが実施されました。後に、空軍は通常弾頭型をIM-99、核弾頭型をCIM-10と改名しました。

性能と技術的特長

ボマークミサイルは、発射時に液体燃料ロケットによって超音速域まで加速し、その後ラムジェットエンジンに切り替えて飛行します。中間誘導はSAGE（半自動式防空管制組織）によって行われ、目標に接近した際にはミサイル内蔵のAN/DPN-34レーダーが作動、アクティブ・レーダー・ホーミング方式で目標をロックします。射程は約400キロメートルに達し、IM-99は1000ポンドのTNT弾頭を、CIM-10は10キロトンの核弾頭を搭載可能です。アメリカ空軍では1959年から1972年まで運用され、カナダ空軍でも1962年から1972年まで使用されました。

ボマークの発展と派生型

CIM-10ボマークの後継としてCIM-10Bが登場し、このモデルでは一段目のエンジンが固体燃料ロケットに変更されました。その結果、即応性が大幅に向上し、最高速度はマッハ3、実用高度も30,000メートルに達しました。また、CQM-10と呼ばれる標的機も開発され、さまざまな運用状況に対応できるようになりました。

作戦部隊の運用

運用時のIM-99Aミサイルは「棺桶」と呼ばれる準強化型シェルターに水平に配置されていました。発射命令が下されると、シェルターの屋根が開き、ミサイルが持ち上げられます。ミサイルには燃料が供給された後にブースターロケットによって発射され、高度66,000フィートからミサイルの推進が行われます。ボマークは最大射程250マイル（約400キロメートル）を誇り、高爆発性弾頭か10キロトンのW-40核弾頭を選択可能です。

このミサイルシステムは、敵の爆撃機を追尾・迎撃するためにNORAD（北米航空宇宙防衛司令部）の半自動式防空管制システムに依存していました。最盛期には、アメリカ国内に14か所、カナダに2か所のボマークサイトが設置してありました。

結論

CIM-10ボマークは、その技術的革新と運用能力から冷戦時代のアメリカの防空戦略において重要な役割を果たしました。勇敢な設計と先進的なミサイルシステムは、国防における大きな一歩を示しています。

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