CLOSE/クロース

CLOSE／クロース：繊細な友情の物語

2022年公開のベルギー映画『CLOSE／クロース』は、ルーカス・ドン監督によるカミング・オブ・エイジ・ドラマです。彼の前作『Girl／ガール』に続く作品で、繊細な青春の物語が世界中で高い評価を受けました。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど、数々の賞を受賞・ノミネートされています。

親密な友情の崩壊

物語の中心は、13歳のレオとレミという幼馴染の少年たちです。夏休みはいつも一緒に過ごし、かけがえのない親友同士だった2人。しかし、学校が始まると、彼らの親密な関係が周囲の注目を集め始めます。やがて、不適切な言葉や視線によって、友情に亀裂が入り始めます。レオはレミとの距離を置くことを選択し、二人の関係は変化していくのです。

繊細な演技と美しい映像

本作では、エデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワールがレオとレミを演じ、自然で繊細な演技を見せています。その他のキャストには、エミリー・ドゥケンヌ、レア・ドリュッケールらが名を連ねています。ルーカス・ドン監督は、美しい映像と静謐な演出で、少年たちの複雑な感情を丁寧に表現しています。特に、自然光を効果的に使った映像は、彼らの内面世界を映し出す鏡のようです。

制作背景とインスピレーション

『CLOSE／クロース』は、2018年のカンヌ国際映画祭で受賞した『Girl／ガール』に続く作品として企画されました。監督のルーカス・ドンは、心理学者のニオベ・ウェイの著書『Deep Secrets: Boys’ Friendships and the Crisis of Connection』からインスピレーションを受け、10代の少年たちの親密な友情とその危機を描いています。映画のタイトルも、この本にちなんでつけられたとのことです。

制作過程では、アマチュア俳優を対象とした公開オーディションが行われ、その後、フランス語での撮影が決定されました。国際的な販売代理店ザ・マッチ・ファクトリーも参加し、ユーリマージュからの資金援助も得て、2021年7月に撮影が開始されました。

世界的な評価と受賞歴

『CLOSE／クロース』は、2022年5月のカンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、グランプリを受賞。その後、シドニー映画祭でも受賞するなど、高い評価を得ています。Rotten Tomatoesでは92％の高支持率を記録し、Metacriticでも高いスコアを獲得しています。批評家たちは、監督の脚本、演出、俳優たちの演技を絶賛。特に、青春期の葛藤やカミングアウトのテーマを繊細に描いた点が高く評価されています。ルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』と比較されることも多く、同性愛嫌悪や友情の脆さについて深く考えさせられる作品として注目されています。

日本での公開と反響

日本では2023年7月14日に公開されました。キャッチコピーは「永遠を壊したのは、僕。」で、予告編では主人公の心の葛藤が感じられる言葉が使用されています。日本でも、その繊細な描写と美しい映像が話題となり、多くの観客の心を掴みました。

まとめ

『CLOSE／クロース』は、友情、成長、そしてアイデンティティを探求する、美しくも切ない物語です。少年たちの繊細な感情、美しい映像、そして考えさせられるテーマは、見る者の心に深く刻まれるでしょう。青春期特有の葛藤や、友情の脆さ、そして孤独の痛みをリアルに描いた本作は、観る者すべてに忘れられない感動を与えてくれることでしょう。

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