COBie

COBie（Construction Operations Building Information Exchange）は、建設プロジェクトにおける施設管理のための国際標準規格です。この規格は、BIM（Building Information Modeling）によって構築された施設の設計、建設、管理へのアプローチと深く結びついており、施設のライフサイクル全体を通じて、効率的な運用とメンテナンスをサポートします。COBieは、USACE（アメリカ陸軍工兵隊）のBill East氏によって考案され、2007年6月にパイロット規格が作成されました。

COBieの主な目的は、施設に関連する重要なデータを捕捉し、記録することです。これには、設備リスト、製品データシート、保証情報、スペアパーツリスト、予防メンテナンススケジュールなどが含まれます。これらのデータは、施設の引き渡し時に運用、メンテナンス、資産管理を円滑に進めるために不可欠です。従来、これらの情報は紙ベースで管理されることが多く、情報の共有や更新に手間と時間がかかっていましたが、COBieはデジタル形式でこれらの情報を管理することで、より効率的で正確な情報管理を実現します。

2011年12月には、米国建築科学研究所によって、米国建築情報モデル（NBIMS-US）規格の一部として承認されました。この承認は、COBieが建築業界における標準規格としての地位を確立する上で重要な出来事でした。COBieは、計画、設計、建設、依頼、運用、保守、資産管理の各段階で使用されるソフトウェアに組み込まれており、プロジェクトのライフサイクル全体でシームレスな情報連携を可能にします。

COBieは、スプレッドシート、STEP-Part 21（IFCファイルフォーマットとも呼ばれる）、ifcXMLなど、複数の形式に対応しています。これらの形式に対応することで、様々なソフトウェアやプラットフォーム間でのデータ交換が容易になり、情報の可搬性が向上します。2013年初頭には、buildingSMARTがCOBieとCOBieLite用の軽量XML形式を開発し、2013年4月にはレビューが可能となりました。この軽量XML形式の開発は、COBieの普及をさらに促進する重要なステップとなりました。

2014年9月には、英国規格である「BS 1192-4:2014 Collaborative production of information Part 4: Fulfilling employer’s information exchange requirements using COBie – Code of practice」として、COBieに関する実施規則が発行されました。これは、COBieの実践的な利用を促進するための重要な指針となり、英国におけるBIM導入の加速に貢献しました。この規格は、発注者の情報交換要件を満たすためのCOBieの利用方法を具体的に示しています。

COBieは、単なるデータ形式ではなく、施設管理における情報共有と効率化のためのプロセスを定義するものです。これにより、プロジェクト関係者間のコミュニケーションが円滑になり、施設のライフサイクル全体でのコスト削減や効率向上に貢献します。COBieは、BIMを活用した施設管理において、必要不可欠な要素となっています。今後の建築業界においては、COBieのような情報共有の仕組みがますます重要になっていくでしょう。

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