COCONUTS-2b

COCONUTS-2b

COCONUTS-2b、あるいは正式名称WISEPA J075108.79-763449.6として知られる天体は、太陽系外に存在する巨大ガス惑星です。この惑星は、COCONUTS-2（TYC 9381-1809-1とも呼ばれる）というM型主系列星の周囲を公転しています。

物理的特徴と軌道

COCONUTS-2bは、質量が太陽系の木星の約6.3倍に達する巨大ガス惑星です。この惑星系の最も特異な点の一つは、主星COCONUTS-2から非常に遠く離れた軌道を周回していることです。その距離は約6000天文単位（au）にも及びます。これは、太陽系における冥王星の軌道よりもはるかに外側にあたる極めて広大な範囲です。このため、COCONUTS-2bが主星の周りを一周するのに要する時間は、100万年以上と推定されており、想像を絶するほど長い公転周期を持っています。

主星 COCONUTS-2

惑星COCONUTS-2bの親星であるCOCONUTS-2は、カメレオン座の方向に位置し、地球からは約35光年（約10.9パーセク）の距離にあります。この恒星はスペクトル分類M3のM型主系列星であり、質量は太陽のおよそ3分の1程度です。比較的若い恒星であり、年齢は1億5000万年から8億年の間と推定されています。惑星COCONUTS-2bは、このような比較的小さく若い恒星の極めて遠方を回る珍しい事例と言えます。

発見と分類の経緯

COCONUTS-2bの存在は、2011年の観測で初めて確認されました。しかし、その時点では主星COCONUTS-2との関連は明らかではなく、スペクトル分類T9の「浮遊する褐色矮星」、すなわちどの恒星の周囲も公転していない単独の天体として識別されていました。

その後、Cool Companions on Ultrawide Orbits（COCONUTS）という名称のサーベイ観測プロジェクトが進められる中で、この天体がCOCONUTS-2の重力に捉えられた伴星、具体的には太陽系外惑星であることが判明しました。この発見とその関連性の発表は2021年に行われました。これにより、長らく単独天体と思われていたWISEPA J075108.79-763449.6は、正式に惑星COCONUTS-2bとして位置づけられることとなりました。

学術的な重要性

COCONUTS-2bは、天文学者にとって非常に価値のある研究対象です。その最大の理由は、地球からの距離の近さにあります。地球から約35光年という距離は、これまでに「直接画像化」という手法で発見された太陽系外惑星の中で、最も地球に近い距離にあたります。直接画像化は、主星の光に紛れがちな惑星を直接捉える高度な観測技術ですが、COCONUTS-2bの近距離性はこの観測を有利にしています。

また、COCONUTS-2bは主星から約6000天文単位という遠距離にあるため、主星からの強い光や熱の影響を受けにくく、惑星自身の放つ赤外線などを比較的容易に観測できます。この特性は、若い巨大ガス惑星の大気組成や構造を詳細に研究する上で大きな利点となります。天文学者による推定では、COCONUTS-2bの表面温度は約434ケルビン（摂氏約161度）程度とされています。これは、若い巨大ガス惑星としては妥当な範囲内の温度です。

COCONUTS-2bは、その極端な軌道と近距離性により、太陽系外惑星、特に巨大ガス惑星の形成メカニズムや大気進化の理解に貢献する重要な観測対象です。

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関連項目:
太陽系外惑星の一覧
直接観測法によって発見された太陽系外惑星の一覧

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