CONCERT TOUR LABYRINTH

郷ひろみ ライブアルバム『CONCERT TOUR LABYRINTH』：迷宮のサウンドスケープ

1986年、日本の音楽シーンに鮮烈な輝きを放った郷ひろみのライブアルバム『CONCERT TOUR LABYRINTH』。前作『郷ひろみ全集／'72〜'85 DANDYISM』から4ヶ月、ライブアルバムとしては『AT THE STARTING LIVE〜READY SET GO!〜』から約4年半ぶりとなる本作は、同年1月9日、大阪フェスティバルホールで開催されたコンサートを完全収録した2枚組CDとしてリリースされました。

このアルバムは、単なるライブ音源の寄せ集めではなく、郷ひろみの音楽性とパフォーマンスの集大成と言えるでしょう。演奏のクオリティ、選曲の妙、そして何よりも郷ひろみ自身の圧倒的な歌唱力とステージングが、聴く者の心を強く掴みます。

特に注目すべきは、ライブアルバムとしては2作ぶりとなる2枚組という構成です。そのボリューム感から、郷ひろみの多様な音楽性を余すことなく堪能できます。収録されている楽曲は、彼の代表曲から、当時最新の楽曲まで幅広く網羅されており、ファンならずとも楽しめる内容となっています。

Disc 1では、アップテンポなナンバーからしっとりとしたバラードまで、郷ひろみの多彩な魅力が凝縮されています。中でも、この公演で初披露された未発表曲「REE」は、アルバム全体を彩る重要な一曲となっています。作詞はジョー・リノイエ、作曲は郷ひろみ自身、編曲は唐木裕史と、豪華な制作陣が参加しています。この曲は、郷ひろみの音楽性の深さと幅の広さを象徴する楽曲と言えるでしょう。

Disc 2では、さらに彼の音楽世界の奥深さが展開されます。セクシーなナンバーから、哀愁漂うバラードまで、楽曲の多様性は目を見張るものがあります。ボニー・タイラーの「ヒーロー」の日本語カバーも収録されており、郷ひろみによる独自の解釈が加えられています。このカバーは、彼のボーカルの実力と表現力の高さを改めて示す、見事な仕上がりです。

全楽曲の編曲を担当したのは、唐木裕史。彼の卓越したアレンジセンスによって、各楽曲の持つ魅力が最大限に引き出されています。楽曲それぞれの個性と、アルバム全体の統一感を両立させた、見事な手腕が光ります。

『CONCERT TOUR LABYRINTH』は、単なるライブアルバムという枠を超え、80年代の郷ひろみの音楽的到達点、そして彼のアーティストとしての魅力を凝縮した作品と言えるでしょう。当時をリアルタイムで体験した世代にとっては懐かしさと感動の再会を、そして若い世代にとっては、郷ひろみの音楽の魅力を再発見する機会となる、まさにタイムレスな名盤です。その圧倒的なパフォーマンスと音楽性は、時代を超えて聴く者の心を魅了し続けることでしょう。

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