COSMOS (アルバム)

アルバム『COSMOS』について

『COSMOS』は、日本のロックバンドBUCK-TICKの9枚目のオリジナルアルバムです。1996年 6月21日にビクターエンタテインメントのInvitationレーベルからリリースされました。本作品は、前作『Six/Nine|Six_Nine』から約1年ぶりとなるもので、作詞は櫻井敦司および今井寿が担当し、作曲は今井寿と星野英彦が手がけています。また、BUCK-TICK自らがプロデュースした作品でもあります。

BUCK-TICKとしては早いペースでのリリースとなった本作は、バンドが所属事務所から独立し、個人事務所「バンカー」を設立してから初めてのアルバムでもあります。レコーディングは日本国内で行われ、共同プロデューサーとして奈良敏博が参加しました。本作は、前作までのダークなイメージを脱却し、よりポップで明快な楽曲が多く収録されています。この点について、周囲からは「原点回帰」との指摘がありましたが、今井はその考えを否定しました。

先行シングル「キャンディ」は本作の主なヒット曲であり、オリコンチャートでは最高6位を記録しました。『COSMOS』はBUCK-TICKがビクターエンタテインメントに在籍していた際の最後のオリジナルアルバムとなり、その後バンドはマーキュリー・ミュージック・エンタテインメントへ移籍しました。

背景

前作『Six/Nine|Six_Nine』のリリース後、BUCK-TICKは全国ツアー「Somewhere Nowhere 1995 TOUR」を実施しましたが、その途中で前作に収録された6曲目において無断でイスラム教の聖典「コーラン」を逆再生した音声が含まれていたことが発覚し、問題が生じました。この騒動は関係者による謝罪を伴う結果となり、発売中止や再プレスが行われることとなりました。

この事件の後、BUCK-TICKはメンバー間でバンドにおける独立の必要性を感じ、原則として事務所を離れて新たに「バンカー」を設立しました。これに伴い、音楽的な自由を求め、より個性的な音楽作りに挑戦することとなりました。

録音と制作

『COSMOS』のレコーディングは1996年の3月から4月にかけて行われ、サウンドスカイ川奈スタジオとビクター青山スタジオで録音されました。今井はこのアルバム制作において、過去の作品に影響されないように意識し、より自由な表現を求めました。特に、アップテンポで爽やかなサウンドが特徴的であり、シンプルなメロディラインを重視しました。

これにより、アルバムは従来のバンドイメージから脱却し、より親しみやすい楽曲が多く収められています。制作過程でのスムーズな進行も特筆すべき点であり、今井は楽曲ごとの制限をなくし、自由な発想で曲作りに取り組んだと語っています。

音楽性と歌詞

本作の音楽スタイルについて、今井は過去に意図しなかった結果としてテンポの速い曲が誕生したと語ります。彼らの新たな試みとしてのポップなサウンドは、ユーモアも交えた楽曲作りがなされ、前作にはない明るい雰囲気が漂っています。

また、櫻井の歌詞については個人的な要素を避け、より抽象的な表現が感じられます。彼は、簡潔な言葉遊びを取り入れることで、精神的な負担を軽減しながらも楽しんで制作したと述べています。特に、シングル「キャンディ」の歌詞では、あえて恥ずかしさを感じる表現を用いることで、よりリアルな感情を引き出そうとしました。

リリースとアートワーク

初回プレス版のパッケージはフォトプリント付きのカラーPケース仕様で、収録曲の中から「キャンディ」のPVメイキングビデオ応募ハガキも封入されていました。さらに、後にデジタルリマスター版がリリースされ、ボーナストラックとしてシングルバージョンが追加されました。

アートワークはグラフィックデザイナーのサカグチケンが手がけ、アルバムのビジュアルは決して過去の作品を踏襲しないという理念に基づいて制作されました。特に歌詞カードには「生」と「死」が隠されている仕掛けが施されています。

ツアーと批評

『COSMOS』を受けたツアーは「TOUR 1996 CHAOS」と名付けられ、全国各地で多数の公演が行われました。しかし、櫻井はツアー中に急性腹膜炎を発症し、病院に緊急搬送される事態になり、一時は命の危険にさらされることがありました。

音楽批評でも、アルバムは高く評価されており、ポップで親しみやすい楽曲が多いと賞賛されています。また、メロディとリズムに重点を置いた制作スタイルは、視聴者にとって記憶に残る印象を与える作品として位置づけられています。

チャート成績

本作はオリコンで最高6位を獲得し、合計17.4万枚を売り上げました。この売上はBUCK-TICKのアルバム中で8位にランクインしています。受け入れられた音楽スタイルの変化は、今後の音楽活動においても重要な転換点となるでしょう。

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