CPU時間

CPU時間とは

CPU時間（またはプロセス時間）は、中央処理装置（CPU）がコンピュータプログラムの命令を実行するために実際に使用した時間のことです。これは、プログラムがI/O操作を待機したり、低電力モードで停止している時間などの経過時間とは異なります。CPU時間は、プログラムの効率を評価したり、システムのリソース使用状況を把握したりするために重要な指標となります。

CPU時間と経過時間

経過時間（実時間、ウォールクロック時間とも呼ばれる）は、プログラムの開始から終了までの実際の時間を指します。これには、CPUが命令を実行している時間だけでなく、I/O処理の待機時間や、マルチタスク環境での他のプログラムの実行待ち時間も含まれます。

一方、CPU時間は、CPUが純粋にプログラムのコードを実行している時間のみを計測します。これにより、プログラム自体の効率をより正確に評価することができます。

CPU時間の活用

CPU時間は主に以下の二つの目的で利用されます。

1. アルゴリズムの効率比較: 異なるアルゴリズムを比較する際、CPU時間はそのアルゴリズムが実際にどれだけの計算処理を必要とするかを示します。例えば、ソートアルゴリズムにおいて、バブルソートとマージソートを比較した場合、マージソートの方が一般的にCPU時間が短くなります。これにより、どちらのアルゴリズムがより効率的かを客観的に判断できます。

2. システムリソースのモニタリング: CPU使用率は、プログラムがCPUリソースをどれだけ使用しているかを示す指標です。CPU使用率が高い場合、プログラムが多くの処理を必要としているか、または無限ループなどの問題を抱えている可能性があります。CPU時間は、プログラムがどれだけの処理能力を必要としているかを正確に計測することで、システムのパフォーマンス分析に役立ちます。

CPU時間の分類

CPU時間は、CPUが何を行っていたかによってさらに細かく分類できます。

• - ユーザー時間: CPUがユーザー空間でプログラムのコードを実行している時間です。
• - システム時間: CPUがカーネル空間でコードを実行している時間です。例えば、プログラムがシステムコールを実行している際に、カーネルが処理を行う時間などが該当します。
• - アイドル時間: CPUが何も処理を行っていない時間です。システム全体でのみ計測されます。
• - スチール時間: 仮想化環境において、OSが処理をしたいのにハイパーバイザーによってCPU時間が割り当てられなかった時間です。システム全体でのみ計測されます。

CPU時間の計測方法

UNIX系OSでは、以下のコマンドでCPU時間を確認できます。

• - `top`コマンド: リアルタイムで各プロセスのCPU時間、優先度、経過時間などを表示します。
• - `time`コマンド: 指定したコマンドの実行にかかったCPU時間（ユーザー時間とシステム時間）と経過時間を出力します。

timeコマンドの出力例

real 1.15s
user 0.327s
sys 0.010s


上記の例では、プログラムの実行に合計1.15秒の経過時間がかかり、そのうちCPUがプログラムのコードを実行するために0.327秒のユーザー時間と0.010秒のシステム時間が費やされたことがわかります。

まとめ

CPU時間は、プログラムの効率性やシステムのリソース使用状況を理解するために不可欠な指標です。経過時間とCPU時間の違いを理解し、適切に活用することで、より効率的なプログラム開発やシステム運用が可能になります。

関連項目

• - 経過実時間
• - CPU
• - プロセス
• - スレッド
• - システム時刻
• - top
• - mpstat
• - ロード

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