CRCプレス

CRCプレス（CRC Press, LLC）は、アメリカを拠点とする出版社で、主に工学、科学、数学分野の専門的な技術書を出版しています。また、実業、法科学、情報技術に関する書籍も取り扱っています。この出版社は、インフォーマ社を親会社とするテイラーアンドフランシスの一部門として運営されています。

沿革

CRCプレスの歴史は、1900年にアーサー・フリードマンによって設立された実験室用ゴムエプロンの販売会社に始まります。1903年、フリードマン兄弟（レオとエマニュエル）が加わり、オハイオ州クリーブランドでケミカルラバー・カンパニー（CRC）として再出発しました。当初は化学者向けの実験装置の販売を手がけていましたが、1913年に大きな転換期を迎えます。

この年、同社はエプロン1ダース購入者への景品として『ゴム製品のハンドブック』（全116ページ）を提供しました。このハンドブックが好評を博し、後に『CRC化学と物理学便覧』（CRC Handbook of Chemistry and Physics）として大幅に改訂され、同社の代表的な出版物となりました。この便覧は、化学や物理学の研究者にとって不可欠な資料として、現在も広く利用されています。

1964年、親会社のケミカルラバー社は出版事業に特化することを決定し、1973年には社名をCRC Press, Incに変更しました。製造事業部門はラボ装置会社（Lab Apparatus Company）として分離独立しました。これにより、CRCプレスは出版事業に専念するようになりました。

1986年、CRCプレスはタイムズ・ミラー社に買収されましたが、1996年には経営権譲渡の検討が始まり、同年12月にインフォメーション・ベンチャー社（Information Ventures）へ売却されました。その後、2003年にテイラーアンドフランシス傘下に入り、2004年には親会社の合併により、イギリスの出版社インフォーマに吸収されました。この変遷を経て、CRCプレスは現在、インフォーマ傘下の出版社として、専門的な書籍を世界中に提供しています。

CRCプレスの出版物は、その正確性と網羅性で知られており、研究者や技術者にとって重要な情報源となっています。特に『CRC化学と物理学便覧』は、長年にわたり多くの専門家に利用され、信頼性の高いデータ集として評価されています。

関連情報

チャップマン＆ホール (Chapman & Hall): 同じく科学技術分野の出版を手がける出版社です。
MathWorld: 数学に関する包括的なウェブサイトで、CRCプレスが関連する分野を補完しています。

外部リンク

* CRC Pressの公式サイト このリンクから、CRCプレスの出版物や詳細情報を確認できます。

CRCプレスは、その長い歴史の中で培われた専門知識と出版技術を活かし、これからも科学技術分野の発展に貢献していくでしょう。

もう一度検索