MathWorld

MathWorldは、ウルフラム・リサーチ社が運営する、数学に関する広範な情報を提供するウェブサイトです。その起源は、物理学と天文学を学んでいたエリック・ワイスタインが1995年に公開した、個人的な学習ノート「エリックの数学の宝庫」(Eric's Treasure Trove of Mathematics) に遡ります。このサイトはインターネット上で急速に人気を集め、多くの数学愛好家や研究者にとって貴重な情報源となりました。

1998年、ワイスタインはCRC出版との間で契約を締結し、彼のコンテンツは紙媒体とCD-ROMで「CRC数学小事典」(CRC Concise Encyclopedia of Mathematics) として出版されました。この書籍は、数学の様々な分野を網羅したコンパクトなリファレンスとして、広く利用されるようになりました。また、この時期にMathWorldのウェブサイトも一部有料化されました。

1999年、ワイスタインはウルフラム・リサーチ社に入社し、同社がMathWorldの運営を引き継ぐことになりました。これに伴い、サイトの名称も「エリックの数学の宝庫」から「MathWorld」へと改称されました。ウルフラム・リサーチ社は、Mathematicaなどの数式処理ソフトウェアで知られており、MathWorldのコンテンツの充実と技術的なサポートに貢献しました。

しかし、2000年には、CRC出版がウルフラム・リサーチ社（および同社代表のスティーヴン・ウルフラム、エリック・ワイスタイン）を著作権侵害で訴え、MathWorldのサイト公開が一時的に差し止められるという事態が発生しました。この訴訟は、オンラインコンテンツの著作権に関する重要な議論を呼び起こしました。

その後、法廷外での交渉により、和解が成立しました。和解条件には、サイト上での版権表示、書籍版への配慮、そしてウルフラム・リサーチ社からCRC出版への金銭的補償などが含まれていたとされています。これにより、MathWorldは再開され、再び無料で利用できるようになりました。

MathWorldは、数学の様々な分野に関する詳細な解説、数式、図表などを豊富に提供しており、学生、研究者、教育者など、幅広い層にとって有用なリソースとなっています。ウルフラム・リサーチ社による運営のもと、MathWorldは継続的に更新・拡充されており、数学の知識を共有し、深めるための重要なプラットフォームとしての役割を果たし続けています。

関連項目:

PlanetMath

外部リンク:

MathWorld ホームページ（英語）
* エリック・ワイスタインの訴訟に関する釈明 - ウェイバックマシン（2008年10月1日アーカイブ分）（英語）

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