CSSC GT-25000

GT-25000: 中国製船舶用ガスタービンエンジンの誕生

概要

GT-25000は、中国の船舶集団であるCSSCの子会社によって開発された船舶用ガスタービンエンジンです。このエンジンは、ウクライナからの技術移転によって生まれました。

開発の経緯

中国人民解放軍海軍は、052A型駆逐艦に初めてガスタービンエンジンを搭載しましたが、最初に選ばれたのはゼネラル・エレクトリックのLM2500でした。しかし、1989年の六四天安門事件を受け、輸入が停止されます。これに対応する形で中国は1993年、ウクライナとUGT-25000ガスタービンの販売およびライセンス生産契約を結び、10台の輸出仕様DA80エンジンを取り入れました。

その後、052A型の2番艦や051B型、052B型、052C型がDA80エンジンを搭載し、051C型にはDT-59が搭載されました。しかし、UGT-25000はその設計上、ヨーロッパでの運用を前提としていたため、高温多湿のアジア環境では不具合が発生しました。

国産化の進展

1998年、中国はウクライナから移転された技術を用いてガスタービンの国産化を開始し、CSICの第703研究所を中心に、西安航空発動機（XAEC）やハービンタービンも参画しました。2004年には最初の国産ガスタービンが完成し、GT-25000と名付けられました。この時点での国産化率は60％でしたが、2011年には98.1％に達しました。国産化に成功したことで、中国国内での生産が可能になり、052D/DL型や055型駆逐艦の大量生産が実現しました。

別系統のエンジン

GT-25000とは別に、UGT-25000を元にした国産エンジンでもあります。その名はQC-280/QD-280で、XAECが開発しました。こちらもUGT-25000と同様のパフォーマンスを発揮しますが、CSICのGT-25000と比較すると軍艦への搭載には適していないとされ、不採用となりました。

中国軍艦のガスタービンとしてはQC-280が搭載されるとされていましたが、これは誤りでした。今後は民間での利用が見込まれています。また、GT-25000とQC-280の開発経験を基に、中国航空工業集団（AVIC）は新たなターボファンエンジンを活用し、多様なガスタービンの開発を進めています。

バリエーション

GT-25000には、いくつかのバリエーションがあります。元のUGT-25000及びDA80は、その基盤となるエンジンであり、民間向けにはCGT25-D（出力30MW）や、GT-25000のアップグレード版で出力を33MWに向上させたGT-25000 S-S cycleも存在します。さらに、インタークーラーを搭載して40MWの出力を目指すGT-25000ICや、QC-280/QD-280も開発されています。

搭載艦船

GT-25000は、広州級駆逐艦や昆明級駆逐艦、南昌級駆逐艦に搭載されています。また、試験運用では広州級2番艦のDA80エンジンの換装も行われました。

このように、GT-25000は中国の海軍戦力を支える重要なエンジンであり、国産化のプロセスを通じた技術の進展と改善が続けられています。

もう一度検索