広州級駆逐艦

広州級駆逐艦

広州級駆逐艦（こうしゅうきゅうくちくかん）とは、中国人民解放軍海軍が運用する052B型ミサイル駆逐艦に該当します。この艦級は、NATOではLuyang I型として知られています。広州級は、特に防空能力を重視した設計がなされています。

来歴

中国海軍は、1970年代より防空艦の導入を目指していました。当初はHQ-61B艦対空ミサイルを搭載した053K型フリゲートを導入しましたが、その性能には不満が残り、フランス製のクロタルミサイルシステムに目を向けざるを得ませんでした。この改善策は、後に山寨化（模倣）されたHHQ-7として1990年代の艦艇に搭載されることになります。

その後、1995年の台湾海峡危機を受けて、中国海軍は自国の駆逐艦の性能限界を痛感し、ロシア製956E型駆逐艦を2隻導入するに至りました。この経験を基に、さらなる防空能力向上を目指す計画が進行しました。

1990年代半ばから始まったDDG整備計画により、広州級の建造は実施されました。この艦級は、051C型と同様に、国産の長距離艦対空ミサイルHHQ-9を搭載する052C型との比較・バックアップとして考えられていましたが、052C型の量産に伴い、広州級はわずか2隻で製造が終わることとなりました。

設計

広州級は、ソヴレメンヌイ級の防空システムを参考にしつつも、中国独自の艦砲や対艦ミサイルを採用しています。船体設計は旅海型（051B型）を基盤としつつ、より高いステルス性に注力されています。艦首部はブルワークが施され、外見も洗練された印象を与えています。

主機関にはCODOG方式が採用されており、高出力を実現するために、ディーゼルエンジンはV型20気筒のMTU 20V956 TB92を搭載しています。また、ガスタービンエンジンには、ウクライナ製のUGT-25000シリーズが装備されています。これにより、艦の機動性と火力の向上が図られています。

装備

広州級のC4Iシステムは、新しい分散型の戦術情報処理装置ZKJ-5を中核にしており、通信設備には標準的な戦術データ・リンクHN-900が利用されています。このHN-900は、北大西洋条約機構の古典的規格であるリンク 11と同等の性能を誇ります。

主要な武器システムには、ロシア製のシュチーリ-1艦対空ミサイル・システムが搭載されており、最大射程は50 kmです。さらに、368型レーダーがメインセンサーとして機能し、精密な目標追尾が可能です。

武器の中には、フランス製の100mmコンパクト砲を模倣した210型主砲があり、30mmガトリング砲を使用した730型CIWSも配置されています。これらの装備は、艦の防御力と攻撃能力を向上させるために新型化されています。

また、対潜機能も有し、Yu-7短魚雷用の3連装発射管を装備。デコイ発射機も複数搭載し、対潜水艦戦に対応可能です。

命名のエピソード

中国海軍の艦艇は通常、都市名が付けられ、その親しみや誇りを表現します。広州級の命名と艦番号168には「一路発（儲けまくり）」という縁起がかけられ、この番号は全国的に人気があります。

登場作品

小説『天空の富嶽』には、「広州」が登場し、空母「天安」を護衛する場面が描かれています。

広州級駆逐艦は、その防空能力や先進的な設計から、中国海軍の運用の中で重要な役割を果たしています。

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