CUBE 一度入ったら、最後

映画『CUBE 一度入ったら、最後』

『CUBE 一度入ったら、最後』は、1997年に公開されたカナダ映画『CUBE』を原案とした、2021年公開の日本映画です。清水康彦が監督を務め、菅田将暉が主演を務めています。オリジナル版の監督であるヴィンチェンゾ・ナタリがクリエイティブ協力として参加し、初の公認リメイク作品として話題を呼びました。しかし、物語の結末は日本版独自の展開となっています。

あらすじ

本作は、謎の立方体（キューブ）に閉じ込められた男女が、脱出を試みる姿を描いたサスペンスです。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、広告代理店役員など、互いに面識のない年齢も職業も異なる人々が、理由もわからぬまま立方体の中に閉じ込められます。そこには、無数の部屋が存在し、それぞれに異なる罠が仕掛けられています。彼らは協力し、時には反目し合いながら、知恵と体力、そしてそれぞれの過去と向き合い、脱出を目指します。

登場人物

後藤裕一（演：菅田将暉）：頭脳明晰なエンジニア。冷静な判断力で脱出を試みます。
甲斐麻子（演：杏）：団体職員。常に冷静沈着ですが、ミステリアスな一面も。
越智真司（演：岡田将生）：コンビニ店員。人懐っこい性格ですが、過去のトラウマを抱えています。
宇野千陽（演：田代輝）：中学生。過去のいじめが原因で心を閉ざしています。
井手寛（演：斎藤工）：整備士。強い責任感で、妻を救おうと脱出に奔走します。
安東和正（演：吉田鋼太郎）：広告代理店役員。出世のためには手段を選ばない冷酷な人物です。

スタッフ

原案：ヴィンチェンゾ・ナタリ
監督：清水康彦
脚本：徳尾浩司
音楽：やまだ豊
* 主題歌：星野源「Cube」

評価

本作は、オリジナル版の設定を踏襲しつつ、日本ならではの社会性を反映した点が評価されています。しかし、その一方で、人物描写のステレオタイプさや、深みに欠ける展開を指摘する声も上がっています。

キネマ旬報社のレビューでは、厳しい評価も見られました。井上淳一は映画愛を疑うと酷評し、古賀重樹は古典性と社会性が映画を凡庸にしていると述べ、服部香穂里は人物像の未消化さを指摘しています。

まとめ

『CUBE 一度入ったら、最後』は、オリジナル版へのリスペクトを込めつつ、新たな解釈を加えたリメイク作品です。謎解きやサスペンス要素に加え、登場人物たちの人間ドラマが展開されます。評価は分かれるものの、脱出劇のスリルと、人間の心理を描いた作品として、楽しめる要素も多くあります。

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