CYNTHIA ALIVE

CYNTHIA ALIVE

『CYNTHIA ALIVE』（シンシア アライブ）は、日本の歌手、南沙織が2020年7月2日にリリースした通算5作目となるCD-BOXです。このボックスセットは、ソニー・ミュージックダイレクトから規格品番DYCL-3589/3594として発売されました。特に注目すべきは、南沙織自身の誕生日に合わせて発売された点です。

このCD-BOXは、ソニーグループのECサイトである「Sony Music Shop」内のサービス「オーダーメイドファクトリー」を通じて商品化が実現しました。オーダーメイドファクトリーでは、ファンからの要望を受けて商品化を検討・決定する仕組みが取られており、『CYNTHIA ALIVE』は、同サービスから発売されたボックスセットとしては、2004年の『ドーナツ盤型12cmCDコレクション』以来のリリースとなりました。

本作品は、南沙織が1971年6月1日にシングル「17才」（SONA-86183）で歌手デビューしてから2020年で50周年を迎えるにあたり、その記念企画の第一弾として位置づけられました。6枚のCDに合計110曲が収録されており、これには活動期間中に発表された全てのシングルA面曲が含まれています。

本作の選曲は、タレントとしても知られるクリス松村氏が担当しています。クリス氏は、南沙織の代表曲である「17才」が持つ強いイメージに対し、「もし『17才』という名曲にまつわる「呪縛」が存在するならば、この機会にそれを一度解放してみるのも良いのではないか」という独自の視点から、楽曲を選んだことを明かしています。この言葉は、単にヒット曲を網羅するだけでなく、アーティストの多面的な魅力を引き出すという、本作の選曲方針を示唆しています。

収録された音源は、全てデジタル・リマスタリングが施され、最新の技術によって音質が向上されています。このマスタリングは、国内外で多くの実績を持つエンジニア、GOH HOTODA氏が手がけています。また、CDの規格には、高品質なサウンドを追求した「Blu-specCD2」が採用されており、よりクリアで奥行きのある音源を楽しむことができます。

パッケージは縦長三面見開きという独特の仕様で、視覚的にもコレクション性を高めています。付属するブックレットは、本作の大きな魅力の一つです。歌詞はもちろん、歌手活動当時の未公開写真を中心に、貴重な写真資料が多数掲載されています。さらに、選曲を手がけたクリス松村氏による手記、そして「シンシア」名義での南沙織本人とクリス氏による8ページにわたる対談が収録されており、作品の背景やアーティストの現在の思いに触れることができます。ブックレットには、1974年10月号の月刊明星に掲載された、当時の著名人によるコメントも再録されており、時代背景を感じさせる貴重な資料となっています。ジャケット写真は、長年にわたり南沙織を撮り続けてきた写真家、篠山紀信氏が撮影を担当しています。

本ボックスセットの特筆すべき点として、未発表楽曲「苦いレモン」が初収録されたことが挙げられます。この楽曲は、ディスク6の18曲目に収められています。「苦いレモン」は、1994年に録音されながらもお蔵入りとなっていた楽曲であり、本ボックスへの収録にあたり、GOH HOTODA氏が新たにミックス作業を行いました。南沙織とクリス松村氏の対談の中で、この曲は1990年代半ばに数曲がレコーディングされたものの、最終的に制作中止となってしまったアルバムに収録される予定だった一曲であることが明かされています。作詞は松本隆、作曲は筒美京平、編曲は大村雅朗という、南沙織の楽曲を数多く手がけてきたゴールデンコンビによる作品であり、ファンにとっては待望の音源化となりました。

発売当時、Sony Music Shopでの購入者には、先着特典としてクリアファイルがプレゼントされるキャンペーンも実施されました。

『CYNTHIA ALIVE』は、南沙織の50年近いキャリアを凝縮し、過去の音源に新たな息吹を与えつつ、未発表曲や貴重な資料を通じてアーティストの新たな側面も提示した、記念碑的な作品と言えるでしょう。

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