Campus

Campus（キャンパス）

「キャンパス」は、日本の文具メーカーであるコクヨが展開する、非常に知名度の高いノートブランドです。かつてはグループ会社のコクヨS&Tが製造販売を担っていた時期もありますが、現在はコクヨの主力ブランドの一つとして広く認知されています。そのブランド名は、大学ノートに由来しており、多くの学生や社会人に利用されています。

このノートの象徴ともいえる表紙のデザインは、時代の流れとともに何度か変更されてきました。最初のデザインは1975年に登場し、以後、約8年から11年ごとに改訂が行われ、これまでに5つの世代が存在します。初代モデルの発売当初から、日本のノートの標準的な罫線であるA罫（7mm幅）とB罫（6mm幅）が設定されていました。デザインの変遷は以下の通りです。

• - 初代：1975年登場
• - 2代目：1983年登場
• - 3代目：1991年登場
• - 4代目：2000年登場
• - 5代目：2011年登場

「キャンパス」ブランドは、単なる大学ノートにとどまらず、幅広い製品を展開しています。リングで綴じられたツインリングノート、ページを切り離してルーズリーフのように使えるリーフノート、ルーズリーフなどを綴じるためのバインダーといった、ノートの形式や機能が異なる製品群があります。さらに、学業やビジネス、個人のライフスタイルをサポートするための多様なアイテムも提供しています。具体的には、レポート箋、便箋、グラフ用紙、洋裁などに用いるデザインノート、音楽帳、五線紙、英習帳、単語帳、単語カード、さらには家計簿、ダイアリー、学習計画を立てるためのスタディープランナーなど、非常に多岐にわたるラインナップを誇ります。

近年のデジタル化の波にも対応しており、手書きのノートをより効果的に活用するためのデジタル連携ツールも提供しています。

Carry Campus（キャリーキャンパス）

手書きのノートをスマートフォンに取り込み、学習効率を高めるために開発されたiOS向けアプリケーションです。2022年1月31日にリリースされ、無料で利用できます。このアプリの主な特徴は3つあります。まず、撮影したノートをスマートフォンでいつでも手軽に見返すことができる点。次に、テストの予定とノートの関連付けを行うことで、計画的な学習をサポートする点。そして、暗記に便利なマーカー機能や、音声でメモを残せる録音機能といった編集機能が搭載されている点です。

CamiApp（キャミアップ）シリーズ

キャンパスノートとは別のシリーズですが、コクヨは専用の無料アプリと連携してノートや書類を電子化する「CamiApp」シリーズも展開しています。このシリーズ対応のノートやメモパッド、ルーズリーフ、バインダーなども発売されており、手書き情報をデジタルで管理したいというニーズに応えています。アプリでページを撮影すると、自動で傾きや歪みが補正され、きれいに電子データ化されるのが特長です。

広報活動

ブランドのプロモーション活動として、印象的な取り組みも行われています。2012年2月26日には、TBSテレビとMBSテレビの東西の主要局で、特別な60秒CMが放映されました。このCMは、没後20年を迎えたロックシンガー尾崎豊氏に焦点を当て、彼の直筆ノート、肉声、そして未発表の音源を初めて公開するという内容で、大きな話題を呼びました。

中国市場での展開

コクヨは、日本国内だけでなく海外市場にも目を向けており、特に中国では独自の展開をしています。中国市場では、「キャンパス」ブランドに加えて、「Gambol（ギャンボル）」という別ブランドでも製品を展開しています。興味深いことに、この「Gambol」ノートは、元々「キャンパス」ノートの2代目デザインを模倣したコピー商品として存在していたものです。しかし、コクヨは製品の製造元であった何如文化用品という企業から事業譲渡を受ける形で、この「Gambol」ブランドを自社のものとし、中国市場における足がかりとしました。その後も「Gambol」ブランドは維持され、特に尖閣諸島問題などによって反日感情が高まるような状況下でも、現地市場における販売力を維持・強化する上で重要な役割を果たしています。

「キャンパス」ノートは、長年にわたり品質と使いやすさを追求し、多様なニーズに応える製品を展開することで、日本の文具市場における確固たる地位を築いています。デジタル連携やグローバル展開といった新しい試みも取り入れながら、進化を続けているブランドと言えるでしょう。

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