ChEBI

ChEBI（Chemical Entities of Biological Interest）とは、生物学的に関心の高い低分子化合物を網羅的に収録した、化学物質データベースおよびオントロジーです。Open Biomedical Ontologiesプロジェクトの一環として開発されており、生命科学研究において重要な役割を担っています。

ChEBIでは、原子、分子、イオン、錯体など、構造や同位体組成によって区別されるあらゆる化学種を対象としています。特に、生理活性を持つ化合物、すなわち生物に何らかの影響を与える化合物が中心的に扱われています。これらの化合物は、天然に存在するものと人工的に合成されたものの両方が含まれます。ただし、ゲノムによって直接コードされる核酸、タンパク質、ペプチドなどは、ChEBIの対象外となっています。これは、これらの高分子化合物は、ChEBIが扱う低分子化合物とは性質が異なるためです。

ChEBIは、[国際純正・応用化学連合]と国際生化学・分子生物学連合(IUBMB)が定める命名法、記号、分類体系を厳密に準拠しています。これにより、データの統一性と信頼性が確保され、世界中の研究者にとって共通の参照源として機能します。

ChEBIのデータへのアクセスは、完全に無料で公開されています。データベース内の全てのデータは無所有権、または無所有権の情報源に由来するため、誰でも自由に利用することができます。さらに、各データ項目は出典が明確に示されており、データの追跡可能性を徹底しています。これにより、研究者はデータの信頼性を容易に検証し、適切な引用を行うことができます。データへのアクセス方法は、Webサービスによるオンライン検索と、データファイルの一括ダウンロードの二通りが用意されています。柔軟なアクセス方法により、様々な研究ニーズに対応可能です。

ChEBIは、他の化学情報データベースとの連携も重視しています。例えば、ChEMBL、ChemIdPlus、DrugBank、PubChemといったデータベースとは関連情報が共有され、相互補完的な関係にあります。これらのデータベースと連携することで、ChEBIの有用性と網羅性がさらに高まっています。

ChEBIは、生命科学研究における重要なインフラとして、医薬品開発、創薬研究、毒性学研究、環境科学研究など、多様な分野で活用されています。その網羅性、正確性、アクセシビリティ、そして他のデータベースとの連携により、ChEBIは世界中の研究者にとって不可欠なツールとなっています。今後の更なる発展により、生命科学研究における更なる進歩に貢献することが期待されます。

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