Chainlink (ブロックチェーン)

Chainlink(チェーンリンク)とは

Chainlinkは、イーサリアムブロックチェーン上で動作する分散型オラクルネットワークであり、ブロックチェーン技術と現実世界のデータやシステムとの橋渡し役を担っています。これにより、スマートコントラクトが外部のデータにアクセスし、それを利用して契約を自動的に実行できるようになります。従来のブロックチェーン技術では不可能だった、より複雑で現実的なアプリケーションの実現を可能にすることを目指しています。

歴史

Chainlinkは、Sergey NazarovとSteve Ellisによって2017年に設立されました。同年、コーネル大学教授のAri Juelsが加わり、彼らと共にChainlinkのプロトコルとネットワークに関するホワイトペーパーを発表しました。

2018年には、Juelsが開発した信頼できる実行環境ベースのブロックチェーンオラクルであるTown Crierが統合されました。Town Crierは、イーサリアムとHTTPSを使用するウェブソースを接続する役割を担いました。

2019年には、スマートコントラクトをサービスするためのネットワークが正式にローンチされました。これにより、Chainlinkは実際に利用可能なシステムとして稼働を開始しました。

2020年には、Juelsとの共同プロジェクトであるDECOが統合されました。DECOは、ゼロ知識証明を用いて、機密情報を開示せずにブロックチェーンオラクルに情報の真実性を証明するプロトコルです。これにより、個人情報保護を重視したデータ利用が可能になりました。

2021年4月には、Chainlinkの将来の方向性を示す2番目のホワイトペーパーが発表されました。この発表は、Chainlinkが技術的な進化を続ける意思を示すものでした。

技術的仕組み

LINKトークン

Chainlinkのネットワークで利用されるトークンは「LINK」です。LINKトークンは、オラクルサービスを提供するノードオペレーターへの報酬として、また担保として使用されます。LINKはイーサリアムブロックチェーン上に発行されたERC677トークンです。

オラクルネットワーク

Chainlinkの分散型オラクルネットワークは、ブロックチェーンがオフチェーンのデータや計算リソースに安全に接続できるようにするためのオープンソースの基盤技術です。オラクルとは、イーサリアムの文脈では、外部（オフチェーン）からの質問に回答できる信頼性の高いシステムを指します。具体的には、金の価格や乱数などの外部情報をブロックチェーンに提供し、スマートコントラクトで利用できるようにします。

また、Chainlinkは、データを安全にDAppsのフロントエンドに直接中継する機能や、異なるブロックチェーン間のミドルウェアとしての役割も担います。このため、Chainlinkはブロックチェーンとオフチェーン環境間の「ブリッジ」として機能すると言えます。

ネットワークノードは、複数のソースからデータを収集し、検証し、ブロックチェーンに配信します。ノードオペレーターは、ネットワークのネイティブ暗号通貨であるLINKで報酬を得ます。この報酬システムは、ネットワークの安定性と信頼性を維持する上で重要な役割を果たしています。

さらに、Chainlinkは、検証可能なランダム関数（VRF）やデータフィードなど、様々なオフチェーン計算機能を提供します。データフィードは、選挙データをオンチェーンに持ち込むために使用され、VRFは分散型ゲームにおける乱数生成に利用されます。これらの機能は、スマートコントラクトの可能性を大幅に拡大します。

参考文献

Antonopoulos, Andreas M.、Wood, Gavin『マスタリング・イーサリアム スマートコントラクトとDAppの構築』宇野雅晴、鳩貝淳一郎（監訳）、中城元臣、落合渉悟（技術監修）、オライリー・ジャパン、2019年。ISBN 978-4-87311-896-3。

外部リンク

Chainlink（英語）
Chainlink (@chainlink) - X（旧Twitter）
Chainlink - YouTubeチャンネル
Chainlink Official - Discord
Chainlink Official - Telegram

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