Classic Tetris World Championship

クラシックテトリス世界選手権(CTWC)とは

クラシックテトリス世界選手権（Classic Tetris World Championship, CTWC）は、1989年に任天堂から発売された北米版NES用ソフト『Tetris』、通称「クラシックテトリス」の世界一を決めるeスポーツ大会です。

大会誕生の背景

当時、世界チャンピオンという概念が存在しなかったクラシックテトリスで、「誰が一番上手いのか？」を決めるべく、有志が集まり大会が創設されました。2010年 8月10日に、ドキュメンタリー映画「エクスタシー・オブ・オーダー」の撮影を兼ねて、一部招待制のトーナメントとして第1回CTWCが開催されました。

大会の運営

初期の運営は、映画監督のAdam Cornelius、ディレクターのVince Clemente、そして1990年のニンテンドー・ワールド・チャンピオンシップ出場経験者のTrey Harrisonの3名でした。2023年をもってAdamとTreyは運営を退任し、2024年以降はVince Clementeが単独のトーナメント・ディレクターを務めます。

大会の歴史

第1回大会の成功後、CTWCは年1回開催されるようになり、初期はロサンゼルスで開催。その後、レトロゲーム中心のゲームショウのサイドイベントとして開催されるようになりました。2012年からはポートランド・レトロ・ゲーミング・エキスポ（PRGE）がホストを務めましたが、2024年からはパサデナのソーカル・ゲーミング・エキスポに場所を移し、13年ぶりにカリフォルニアに戻って開催されます。

大会の模様はTwitchでライブ配信され、HDレンダリングされたゲーム映像やプレイヤーの表情、手元などを映し出し、視聴者も臨場感あふれる観戦を楽しめます。

使用されるソフトとゲームルール

CTWCで使用されるのは、1989年発売の北米版NES「Tetris」です。日本未発売であり、ヨーロッパ版とはパラメータ調整が異なります。

ゲームモードはA-TYPEとB-TYPEがありますが、近年の大会ではA-TYPEのみが競技で使用されます。A-TYPEは、レベルが上がるごとにテトリミノの落下速度が上昇し、得点倍率も上がります。テトリス（4ライン同時消去）が最も得点効率が高く、高得点を狙うにはテトリスを積極的に狙うことが重要です。

操作テクニックの変遷

初期の操作は、十字キーを押しっぱなしにする「DAS」と呼ばれる方法が主流でした。しかし、レベルが上がると落下速度が速くなり、DASでは操作が追いつかなくなります。そこで、十字キーを高速連打する「ハイパータッピング」というテクニックが登場し、より多くの操作が可能になりました。近年では、コントローラーの背面を叩いて操作する「ローリング」というテクニックが開発され、ハイパータッピングを凌駕する操作速度を実現し、世界記録を塗り替えています。

キルスクリーンと真のキルスクリーン

レベル29は、開発者が想定していた最後のレベルであり、これよりも高いレベルに到達すると、ゲームが想定外のグリッチを起こすことが知られています。特にレベル29の落下速度は、バグなどによってこれ以上プレイの続行が出来ない状況を指すレトロゲームの慣例にならい「キルスクリーン」と呼ばれていました。しかしながらハイパータッピングなどの操作方法によりレベル29以降もプレイ可能であることが示されました。

「テトリス」では、レベル138に到達すると10レベル周期で色を変える計算式が想定されていない分岐を行い、ブロック用のカラーパレットではない場所を読み込んでしまい、ブロックの色が異常になることが知られていました。

さらにレベルが進行すると、純正カートリッジの「テトリス」は「クラッシュ」する可能性が発生します。そして2023年12月21日、ウィリス・ギブソンがレベル157でクラッシュを達成し、「テトリス」の発売から34年後にして、世界で初めてこのゲームを「完全制覇」しました。このクラッシュは「真のキルスクリーン」と命名されました。

CTWCの競技形式

大会は3日間に渡って行われ、予選とメインイベント（決勝トーナメント）で構成されます。予選では、A-TYPEモードをプレイし、上位者がメインイベントに進出します。メインイベントでは、対戦形式でスコアを競い、規定ゲーム数を先取したプレイヤーが勝利となります。2016年からは、特殊なカートリッジを使用し、テトリミノの出現順序を固定したり、100万点以上のスコアを表示できるようになりました。2023年からは、レベル39に到達すると落下速度が2倍になる「スーパーキルスクリーン」が導入されました。

日本とCTWC

CTWCで使用される北米版NES「Tetris」は日本では発売されていませんでしたが、2024年冬にNintendo Switch Onlineで配信され、日本国内でも遊べるようになりました。日本人選手の最高成績は、Koji Nishio選手の準優勝（2019年）です。

その他のイベント

CTWC以外にも、ヨーロッパ版テトリスを使用するCTECや、DASプレイスタイル限定の大会など、様々なテトリスイベントが開催されています。

CTWCは、テトリスファンにとって世界最高峰の舞台であり、常に新たなドラマと感動が生まれています。

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