Cloud Foundry

Cloud Foundry：オープンソースPaaSの進化と現状

Cloud Foundryは、オープンソースのPlatform as a Service（PaaS）ソフトウェアとして広く知られています。その歴史はVMware社による開発に遡り、その後、EMC社との合弁会社であるPivotal Software社へと開発が移管されました。そして2014年、Pivotal、EMC、VMwareに加え、IBM、HP、SAPといった大手企業や日本のNTT、富士通なども参加するCloud Foundry Foundationへと、その運営は引き継がれました。

このオープンソースプロジェクトは、主にRuby、Go、Javaといった複数のプログラミング言語を用いて開発されています。その高い柔軟性と拡張性から、世界中の開発者や企業から支持を集め、様々な環境での運用実績を誇ります。

開発の歴史：VMwareからCloud Foundry Foundationへ

Cloud Foundryの開発は2011年にVMware社によって開始されました。業界初のオープンなPaaSとして、その登場は大きな注目を集めました。その後、2012年にはVMwareとEMC社がクラウドとビッグデータに焦点を当てた新組織「Pivotal Initiative」を発表。2013年にはCloud Foundryの開発がPivotal社へと正式に移管され、同社は2013年6月には、アーキテクチャの大幅な変更を含むCloud Foundry V2の発表を行いました。このバージョンアップでは、Herokuが開発したBuildpackの採用、Go言語によるコンポーネントの書き換え、WardenというLinuxコンテナを用いたアプリケーション実行環境といった重要な変更が盛り込まれました。

2014年には、Cloud Foundry Foundationが設立され、開発のガバナンスが移管されました。これは、より広範な企業参加とコミュニティ主導の開発体制を目指すための重要なステップでした。同年、Diegoプロジェクトが開始され、アプリケーション実行環境の刷新が進められました。Diegoは、Dockerなどの複数の環境に対応した、柔軟性の高い実行環境を実現しています。同年12月には、Cloud Foundry Foundationは非営利法人としての活動を正式に開始し、Linux Foundationの支援の下、グローバルなオープンソースプロジェクトとしての基盤を固めました。

ソフトウェアとライセンス

Cloud FoundryのソースコードはApache License 2.0の下で公開されています。コントリビューターは、Pivotal Software社が提供する個人または法人向けのライセンスに同意する必要があります。このライセンスは、Pivotal社に著作権と特許権の利用と保護を付与するもので、VMware社が開発しPivotal社に継承されたSpring Frameworkと同様のモデルとなっています。

Cloud Foundryは、様々なランタイムやフレームワークをサポートしており、開発者は自身のニーズに最適な環境を選択できます。また、VMware Fusion、VirtualBox、AWSなど、多様な環境での動作にも対応しています。

プラットフォームとサービス提供

Cloud Foundryはオープンソースプロジェクトですが、Pivotal Software社はAWS上にホストしたPivotal Web Servicesを提供しています。他にも、NTTコミュニケーションズ、CenturyLink Cloud、IBM Bluemix、SAP Cloud Platform、FJcloudなど、多くの企業がCloud Foundryを利用したPaaSサービスを提供しています。

利用方法

アプリケーション開発者は、`cf`コマンドラインインターフェースを使用して環境構築やアプリケーションの配備を行います。アプリケーションをプラットフォームにデプロイするには、`cf push`コマンドを使用します。例えば、`cf push APP-NAME-1234 -m 512M -i 2`コマンドを実行すると、`APP-NAME-1234`という名前のアプリケーションが、512MBのメモリサイズを持つ2つのコンテナ上に配備されます。

配備されたアプリケーションは、データベースやファイルシステムなどの外部リソースにアクセスするためにサービスを利用します。プラットフォームに登録されているサービスは、`cf marketplace`コマンドで確認でき、`cf create-service`コマンドと`cf bind-service`コマンドを使って、アプリケーションにサービスをバインドします。Pivotal Web Servicesでは様々なサービスが利用可能ですが、他のPaaS事業者も独自のサービスを提供しています。

Cloud Foundryは、その柔軟性と拡張性、そして活発なコミュニティによって支えられたオープンソースのPaaSとして、今後も進化を続け、クラウドネイティブアプリケーション開発の中核を担っていくことが期待されます。

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