Cmode

Cmode（シーモード）とは

Cmodeは、2002年にNTTドコモ、日本コカ・コーラ、伊藤忠商事の3社によって共同開発された、コカ・コーラ自動販売機を利用したプリペイド型決済システムです。このシステムに対応した自動販売機は、当初「シーモ」という愛称で親しまれていましたが、現在は「マルチマネー対応自販機」と呼ばれています。本記事では、Cmodeの誕生からサービス終了までの経緯、そして自動販売機の進化について詳しく解説します。

Cmodeの概要

2002年のサービス開始から2011年3月31日まで、日本コカ・コーラが運営する会員サイト「Club Cmode」を通じて、シーモ専用のプリペイド型電子マネー「Cmodeマネー」が提供されていました。当初は、現金購入のみでしたが、2005年からは専用アプリを介しておサイフケータイにチャージできるサービスが開始され、iDに対応したFelicaリーダー/ライター搭載のベンダー機種が導入されました。これらの機種は、従来の自動販売機に電子マネー対応のための操作ボタンが追加され、初期の「シーモ1」「シーモ2」には、カラー液晶画面が搭載されており、操作手順や残高が表示されました。また、待機時にはコカ・コーラのCM動画やスクリーンセーバーが表示される機能も搭載されていました。

Club Cmode

「Cmodeマネー」を利用するためには、NTTドコモのi-mode、auのEZweb、ソフトバンクモバイルのYahoo!ケータイ（当初はiモードのみ）での会員サイト登録が必須でした。会員サイトで「プリペイド」や「購入」を選択するとQRコードが表示され、それをシーモに読み取らせることでチャージや決済が可能でした。チャージは、自販機に現金を投入することでも行えました。初期のシーモには、レシートプリンターが搭載されており、チャージ金額の領収書や、デジタルコンテンツのURLやQRコードを印刷する機能も備わっていました。しかし、デジタルコンテンツ販売は2003年には廃止されました。

2003年頃から2008年まで、Cmodeポイントサービスが実施されていました。Cmodeマネーのプリペイド購入額に応じてポイントが付与され、貯まったポイントはプリペイド残高に移行できました。また、特定の飲料を無償で提供するキャンペーンも不定期的に行われていました。2005年からはFelica対応型シーモが導入され、Cmodeマネーがおサイフケータイに対応しました。これにより、専用アプリを介して直接チャージが可能になり、会員サイトへの接続が不要になりました。チャージ方法としては、自販機に現金を投入してFelicaにチャージする方法と、会員サイトで入金したプリペイド残高を振り替える方法がありました。

Felica型電子マネーへの対応

2005年12月からは、Felica対応型シーモの導入によりiDにも対応しました。これにより、会員サイトに登録しなくても、iDが利用できるようになりました。しかし、ClubCmode会員で専用アプリを併用している場合は、Cmodeポイントが還元される特典がありました。その後、EdyやICカード乗車券のストアードフェア残高にも対応し、「Cmodeマネー」の存在意義は薄れていきました。各シーモ自販機には、利用可能な電子マネーのロゴがシールで掲示されていました。

Cmodeマネーサービスの終了

マルチマネー対応自動販売機の普及やCmodeポイントの廃止により、Cmodeマネーの存在意義が薄れたため、2010年12月31日をもってサービスが終了しました。その後、2011年3月31日までサービス終了を延期し、プリペイド残高に応じて「コカ・コーラギフト券」に交換する手続きが行われました。残高を使い切れなかった会員には、現金書留による払い戻しが行われました。

マルチマネー対応自販機

Cmodeに対応した自動販売機は、「マルチマネー自動販売機」と呼ばれています。QRコードのみに対応するシーモ（1）と、おサイフケータイとFeliCa搭載カードに対応するシーモ2、子シーモ、新子シーモの4種類があります。将来的にはすべての自販機がマルチマネー自販機になる予定でしたが、2010年に導入された「ecoる/ソーラー」はマルチマネー非対応です。

シーモ

初期型で、QRコードのみに対応していました。パナソニック製で、プリンターやテンキーが付いており、クーポン券を発行する機能も備わっていました。しかし、シーモ2や子シーモの登場により、順次置き換えられました。

シーモ2

2004年に登場したパナソニック製で、FeliCa対応のマルチリーダーライターが搭載されました。おサイフケータイやFeliCa対応ICカードに対応しましたが、テンキーやプリンターは排除されました。QRコードを使う場合は、バーコードリーダーに携帯電話の画面をかざすだけで自動的に目的の画面に遷移するようになりました。

子シーモ

2005年12月に登場した、小型の筐体です。日本コンラックス製で、パナソニック製のマルチリーダーライターが搭載されています。コカ・コーラ社が設置した既存の自販機に設置可能で、機器価格もシーモ2より抑えられたため急速に拡大しましたが、Cmodeサービス終了や最新自販機の登場により減少傾向にあります。

新子シーモ

2008年5月頃から設置が開始された、子シーモの改良版です。QRコードリーダーが排除され、代わりに電子マネー選択ボタンが配置されました。現金とFeliCa通信での購入のみに対応しています。

e-40 (ecoる/E40)

2009年から設置され始めた、省エネ型の次世代自販機です。パナソニック製で、LED照明やノンフロン冷媒などの省エネ技術が採用されています。新子シーモと同じマルチリーダライタを搭載しています。

電子マネーへのチャージ（Cmode電子マネー）

シーモ2、子シーモ、新子シーモでは、現金投入によるチャージが可能です（2010年9月30日終了済み）。チャージ上限は5000円で、10円単位でチャージができました。投入金額全額のチャージのみに対応しており、釣り銭は払い出されませんでした。

ドリンクの購入方法

シーモでの購入方法は、Felica通信とQRコードの2通りがあります。

初代シーモ

QRコードを読み込ませて購入します。テンキーを利用してプリペイドチャージも可能です。

シーモ2・子シーモ

QRコードのほか、FeliCa通信でも購入できます。Cmodeアプリのチャージ分を利用するには、商品選択ボタンを押した後に、チャージ済みおサイフケータイをタッチします。Cmodeアプリへのチャージは、おサイフケータイをタッチし、現金を投入後、再度タッチすることで完了します。また、iDで購入する場合は、ドリンクボタンを押した後、うさぎマークを押し、表示が「iDで購入する」になったことを確認してからおサイフケータイをタッチします。

新子シーモ・e-40

現金とFeliCa通信での購入に対応します。QRコードでの購入はできません。ドリンク購入方法はシーモ2・子シーモに準じます。

Cmodeポイント

2008年12月31日をもってCmodeポイントは廃止されました。2009年12月31日まではポイントの使用が可能でしたが、QRコード経由でしか使用できなかったため、新子シーモなどQRコード読み取り機能がない機種では使用できませんでした。

キャンペーン

新製品発売時などには、無償で提供するキャンペーンが行われていました。メールマガジンで告知され、QRコードが提供されました。QRコードでの提供のため、新子シーモでは利用できませんでした。また、コカ・コーラが行うキャンペーンと提携企業が行うキャンペーンは別々に扱われていました。

マスコットキャラクター

2006年頃までは、すもも（チンパンジー）とゴルディ（ブルドッグ）がマスコットキャラクターでしたが、その後、イラストのウサギ（シーモラビット）に変更されました。

当時の課題

2007年、日本自動販売協会とNECは、FeliCa対応の自販機向けリーダーライターを開発し、既存の主な電子マネーに対応することを発表しましたが、Cmodeとは一線を画していました。Cmodeサービス終了から11年半後の2022年、日本コカ・コーラは「Coke ON マネー」という電子マネーサービスを再開しました。

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