Cocoro SB

ココロSB株式会社について

ココロSB株式会社は、ソフトバンクグループに属していた研究開発企業です。本社は東京都港区に位置していました。旧商号は汐留役員1号株式会社であり、自律型ヒューマノイドロボット「Pepper」を中心とした事業を展開していました。また、AI技術である「感情エンジン」の研究開発にも力を入れていました。子会社には自然言語処理技術を持つサイネット社がありました。

AI技術「感情エンジン」

ココロSBが開発した「感情エンジン」は、各種センサーから得られる情報を基に、人間の五感で捉える外部刺激に対する擬似的な脳内分泌を定義し、クラウドコンピューティング上で感情を表現する技術です。この技術は、人工感性知能として、以下の4つの主要な要素で構成されています。

1. 感情認識エンジン: AGI社の「声から感情が見える技術」を活用しています。この技術は医療分野にも応用されており、「声で病気を治す技術」の研究が東京大学医学部で臨床的に行われています。
2. 感情生成エンジン: 人工感性知能を大脳辺縁系に見立て、ロボットが受け取る刺激を、CRH、ドーパミン、ノルアドレナリン、ACTH、コルチゾール、血糖値、セロトニンといった8種類の内分泌ホルモンやバイタルデータの挙動として、ニューラルネットワークでシミュレートします。
3. 自然言語処理 雑談エンジン: 意味解析、構文解析、係り受け解析を行い、5W1Hを認識する、ランダム性のない会話システムを実現しています。
4. 物体認識エンジン: ディープラーニングを用いて画像を認識し、それに基づいて動作を行うエンジンです。

感情を持つモビリティの開発

ココロSBは、本田技研工業（ホンダ）の研究開発子会社である本田技術研究所と共同で、「感情エンジン」をモビリティに応用する研究を開始しました。ホンダは東京・赤坂にHondaイノベーションラボTokyoを設立し、この共同研究は同拠点をベースとしたAI技術のオープンイノベーションの一環とされました。この研究の目標は、運転者との会話やモビリティが持つ各種センサーからの情報を活用し、ドライバーの感情を推定し、モビリティ自身が感情を持ってドライバーと対話し、学習することです。これにより、運転者がモビリティをまるで相棒のように感じ、愛着を持つようになることを目指しています。

沿革

2012年：光吉俊二氏が設立したベンチャー企業AGIを買収し、ソフトバンクの子会社化。
2014年6月5日：汐留役員1号株式会社から商号変更し、感情技術の研究・開発部門としてココロSB株式会社を設立。家庭用人型ロボットPepperを発表。
2015年6月18日：時給1500円でPepperを貸し出すロボット人材派遣サービスを開始（東京23区限定）。
2015年12月18日：ロボット人材派遣サービスの提供エリアを埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、広島県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県に拡大。
2016年5月14日：ロボット人材派遣サービスの提供エリアを北海道（札幌市）、新潟県、長野県、大阪府に拡大。
2016年6月10日：ロボット人材派遣サービスの提供エリアを宮城県、岐阜県、三重県、京都府、兵庫県に拡大。
2016年7月7日：ロボット人材派遣サービスの提供エリアを岡山県に拡大。
2016年7月21日：ホンダとソフトバンクグループが、AI分野で「感情エンジン」を活用した共同研究を開始。
2016年8月25日：川崎重工業が「感情エンジン・自然言語対話システム」を活用した次世代モーターサイクルの開発に着手。
2016年9月20日：アイサンテクノロジーが受託している愛知県の自動走行実証実験事業に、アプリケーション「cocoro Drive」を提供。
2017年1月5日：ホンダが感情エンジンHANAを搭載したEVコミューターのコンセプトカー「NeuV」を発表。
2017年5月24日：三菱自動車が感情エンジンを搭載したAIパーソナルアシスタント「RISA」を発表。
2017年7月19日：ルネサスエレクトロニクスが感情エンジンを活用した車載情報システム用SoC「R-Car」向けの開発キットを発表。
2019年7月1日：ソフトバンクロボティクスに吸収合併され、ココロSB株式会社は解散。

関連項目

Pepper
ソフトバンクロボティクスホールディングス
SoftBank Robotics Europe (Pepperの開発協力)
本田技研工業 (感情を持つモビリティの共同開発)
川崎重工業 (AI搭載次世代モーターサイクルに感情エンジン・自然言語対話システムを活用)
光吉俊二
SBドライブ

脚注

外部リンク

ソフトバンクロボットサイト
* 株式会社AGI

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