Computer Modern

Computer Modern：ドナルド・クヌースによるモダン書体

Computer Modernは、計算機科学者ドナルド・クヌースが開発した欧文書体です。TeX組版システムのために設計され、その特徴的な設計思想が反映されています。

開発経緯と特徴

Computer Modernは、TeXとそのフォント生成システムMETAFONTの同時開発によって生まれました。これにより、フォントはパラメータ制御が可能となり、柔軟な調整が実現されています。例えば、文字の幅や高さ、セリフの有無、数字のデザイン、さらには「i」のドットの形状まで、62個のパラメータで細かく制御できます。

モダン・フェイスに分類されるこの書体は、垂直方向の太い線と細い線のコントラストが際立っており、特にモノタイプ社のModern 8aと共通の特徴を持ちます。また、エックスハイトがアセンダーやディセンダーよりも大きい点も特徴的です。

バージョンと関連フォント

Computer Modern自体の最終更新は1992年ですが、その後も進化を続け、関連フォントが開発されています。CM-Super (Computer Modern-super) は2002年にリリースされ、ラテン文字、ギリシャ文字、キリル文字をサポートしています。さらに、CM-LGCは2005年にリリースされ、より広範な文字セットに対応しています。これらのフォントは、TeXのディストリビューションであるTeX Liveに収録されています。

詳細な情報

Computer Modernに関する詳細な解説は、Computers and Typesettingシリーズのvolume E、Computer Modern Typefacesに収録されています。この書籍には、ソースファイルの内容も含まれており、書体の詳細な情報を知ることができます。

現代的な利用における課題

Computer Modernは、その基本設計の古さから、現代的な利用においてはいくつかの課題も抱えています。当時の環境では、ページプリンタをイメージのアウトラインで制御することが一般的でなかったため、METAFONTは版面をラスタライズすることを前提としていました。しかし、近年ではアウトラインフォントが主流となっているため、オリジナルのMETAFONT実装ではなく、アメリカ数学会やLatin Modern実装のType 1フォントを利用するユーザーが増えています。

外部リンク

Computer Modern-Super font package
CM-LGC font package - Type 1 CM-based fonts for Latin, Greek and Cyrillic.
Computer Modern typeface in TrueType format and OpenType.
Computer Modern Unicode fonts X11 licensed
Latin Modern fonts
How to install Computer Modern fonts on OSX

参考文献

* Donald E. Knuth, Computers and Typesetting Volume E: The Computer Modern Fonts, Addison-Wesley, Reading, Mass. 1986 Hardcover: ISBN 0201134462, Softcover: ISBN 0201606607

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