Concurrent Versions System

Concurrent Versions System (CVS) について

Concurrent Versions System（CVS）は、テキストファイルの変更履歴を記録・管理するバージョン管理システムです。一般的にはCVSと略称され、主にソフトウェア開発の現場で、ソースコードをはじめとするテキストファイルの共有、保存、取り出しに用いられてきました。CVSは、ファイルの枝分かれした版（ブランチ）を管理する機能を有しており、複数人での並行開発を効率的に進めることができます。

CVSの概要

CVSは、ブランチ機能を使わなくとも、ファイルの直線的な変更履歴を追跡することが可能です。また、ファイルをダウンロードする際、サーバ上のファイルと手元のファイルの差分のみを転送するため、開発途中のプログラムを配布する際にも便利です。通常、CVSサーバを設置し、そこにアクセスするCVSクライアントを利用してファイルの共有を行います。CVSクライアントは、コマンドラインツール（cvs）のほか、GUIラッパーや統合開発環境のプラグインなど、多数のツールが存在します。

CVSは、ネットワークを介した利用を考慮した初期のソースコード管理システムであり、フリーソフトウェアであったことから、1990年代に広く利用されました。しかし、後述する欠点が明らかになるにつれて、これらの問題を解決したSubversion、Perforce、Gitといった新しいツールに取って代わられています。

RCSとの比較

CVSは元々、単一ファイルのバージョン管理ツールであるRCS（Revision Control System）の上に構築されていました。現在ではRCSへの依存はなくなっていますが、リポジトリ内のデータ保持にはその名残が見られます。例えば、$Id:$などのキーワードがその一つです。RCS自体も、diffのようなUNIX系のテキスト処理プログラムを基盤としています。

RCSがマルチユーザー環境で利用されていたのに対し、CVSはCVSサーバを別のコンピュータに用意することができます。また、同一ファイルを複数人で同時編集した場合のコンフリクトへの対処方法も異なります。RCSはファイルをロックすることで同時編集を禁止するのに対し、CVSは同時編集を許可しますが、コンフリクトが発生した場合はコミット時にマージ作業が必要です。

CVSの欠点

CVSには、以下のような欠点があります。

ファイル名やディレクトリ名の変更・削除: これらを適切に処理できない。
文字コード: 異なる文字コード（JIS/SJIS/EUC）をサポートしていない。
リポジトリ履歴: ファイルの履歴は追跡できるが、リポジトリ全体の履歴を把握するのが難しい。
バイナリファイル: バイナリファイルの扱いが苦手で、リポジトリのサイズ肥大化を招きやすい。
分散リポジトリ: 分散リポジトリをサポートしていない。
アトミックコミット: 複数のファイルを同時にコミットした場合、アトミック性が保証されない。

CVSクライアント

CVSクライアントとして、以下のものが存在します。

Windows: WinCvs, TortoiseCVS（エクスプローラ拡張）
Classic Mac OS, macOS: MacCvs
GNOME: gCvs
Eclipse: クライアント機能が内蔵
KDE: Cervisia（GUIフロントエンド）

その他のツール

CVSリポジトリを管理・閲覧するためのツールも存在します。

ViewVC: CVSおよびSubversionリポジトリをブラウザで閲覧。
Bonsai: Mozilla開発のCVSリポジトリ管理ツール。
OpenGrok: ソースコードの検索・参照ツール（CVS、Subversion、Gitなどに対応）。
* StatCVS: CVSリポジトリから情報を取得し、レポートを作成するツール。

まとめ

CVSは、初期のバージョン管理システムとして重要な役割を果たしましたが、その後の技術発展により、より高度な機能を持つツールが登場し、現在では利用が減少しています。しかし、CVSがバージョン管理の概念を広めた功績は大きく、その仕組みを理解することは、現代のバージョン管理ツールを理解する上で役立つでしょう。

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