Conkeror

Conkerorは、かつて開発されていたMozillaベースのウェブブラウザで、キーボード操作を重視した設計が特徴です。その操作性は、GNU Emacsに強く影響を受けており、viなど他のプログラムの影響も見られます。開発は、タイル型ウィンドウマネージャのratpoisonやStupwmの開発者であるShawn Betts氏によって開始されました。

当初はMozilla Firefoxの拡張機能として開発されていましたが、後にXULRunnerを用いた独立したアプリケーションとなりました。拡張機能版の開発は2007年に中止され、独立版Conkerorに必要なAPIを提供していた最後のFirefoxであるFirefox 52 ESRも2018年9月にサポートが終了したため、現在では公式にサポートされているMozillaベースのブラウザでConkerorをベースにすることはできません。

Conkerorは、Mozillaと同様の自由ソフトウェアライセンス（GNU GPL、GNU LGPL、MPL）で提供されています。

ブラウジング

Conkerorの最大の特徴は、Emacsと同様のキーバインドとキーボード操作に特化している点です。例えば、デフォルトでは "f" キーを押すと、画面上のクリック可能な要素に番号付きのラベルが表示されます。ユーザーは番号を入力し、"ENTER" キーを押すことで、該当するリンク先に移動できます。また、リンク名の一部を入力することで、候補を絞り込み、目的のリンクを素早く選択することも可能です。

リンク名の一部が入力され、それが唯一のリンクを指す場合は、そのリンクが緑色で強調表示され、"Enter" キーを押すことで直接移動できます。

Conkerorには、多くのデフォルトのキーバインドが用意されており、ユーザーは自分の好みに合わせてキーバインドを追加・変更することができます。

デフォルトのキーバインド例

C-u C-f: ハイパーリンクを新しいバッファで開く
C-u C-g: URLを開く、または新しいバッファで単語を検索する
C-u C-h i: スタートページを新しいバッファで表示する
M-n: バッファを順番に表示する
M-p: バッファを逆順に表示する
C-X b: 開いているバッファの一覧を表示し、選択する

Conkerorでは、複数のページを同時に表示するために、タブの代わりにバッファを使用します。ユーザーは、キーバインドを使って新しいバッファを開き、それらの間を自由に移動できます。

カスタマイズ

Conkerorは、JavaScriptを使って高度にカスタマイズできます。キーバインドの変更から、新しいインタラクティブなコマンドの作成まで、幅広いカスタマイズが可能です。設定は、デフォルトでは `~/.conkerorrc` ファイルから読み込まれます。また、`~/.conkerorrc/` がディレクトリの場合、そのディレクトリ内の全てのファイルが読み込まれ、カスタマイズをモジュール化するのに役立ちます。

Conkerorには、多くのJavaScriptモジュールが付属しており、コア機能を提供するものと、ユーザーがロード可能な拡張機能を提供するものがあります。

Conkerorにはモードという概念があり、URIごとにキーバインド、ページ表示設定、ブラウザの動作をカスタマイズできます。例えば、xkcd-modeは、xkcdのコミックストリップにマウスオーバーした時に表示されるメッセージを特別なフォントで表示します。また、Google Maps、Reddit、YouTubeなどの特定のウェブサイト用のモードも利用できます。ユーザーは、自分自身のモードを定義することも可能です。

名称

ブラウザの名前は、KDEのKonquerorと同様に発音されますが、Conkeror FAQによると、混同を避けるため、"Conkeror"（Cを用いていることに注意）と発音するとしています。

また、この名称は、セイヨウトチノキの実を使った子供のゲーム"conkers"と、同名のビールの名前から取られたとされています。

関連項目

* Emacs

出典

Conkeror公式サイト
Emacs WikiのConkeror
Conkeror – browsing the web, emacs-style

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