CONTOUR

CONTOUR（コンツアー）

CONTOURは、2002年7月3日にアメリカ航空宇宙局（NASA）が打ち上げた彗星探査機であり、英語名はCOmet Nucleus TOURに由来しています。この探査機は、低予算で行われる宇宙探査プロジェクトであるディスカバリー計画の一環として設計されました。

計画の概要

CONTOURは、エンケ彗星やシュワスマン・ワハマン第3彗星を主な観測対象として、さらに可能であれば未発見の彗星をも探査することを目的としていました。探査機は彗星核に100km程度まで接近し、以下のような観測を行う計画が立てられました。

• - 核の写真撮影を行い、解像度4mで彗星の特徴を詳細に捉える。
• - 核の表面の組成を調査するために、100-200mの解像度でスペクトル分析を実施する。
• - 核から放出される塵やガスを測定し、彗星の活動状況を把握する。
• - 彗星の軌道を正確に測定し、その動きを追跡する。

探査機の形状は八角柱で、総重量は775kgでした。
そのうち377kgは、キックモーター用のスター30固体ロケットが占め、さらに70kgは液体燃料によっていました。また、姿勢制御にはスピン安定と三軸制御が併用され、通常時はスピン安定で飛行し、観測時に三軸制御に切り替えられる仕組みになっていました。さらに、彗星からのダストによる影響を軽減するため、本体の片面には25cmの厚さのシールドが施されていました。

打ち上げと通信の途絶

CONTOURはケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、最初の6週間は正常に機能していました。しかし、2002年8月15日、地球周回軌道からの脱出のために固体ロケットが噴射された際、探査機との通信が途絶えてしまいました。この噴射は、探査機と交信が不可能となる位置で行われました。その後46分後に交信が再開される予定でしたが、信号が受信されず、探査機との連絡は完全に途絶えました。

運用チームは接触を試みましたが、2002年11月にはCONTOURの喪失が公式に確認されました。地上からの観測により、探査機が複数の物体に分解した可能性があることが判明しました。調査委員会は、噴射に伴う加熱が原因で探査機が崩壊したかもしれないと結論付けましたが、テレメトリーの受信不可により正確な原因は特定できませんでした。その他の可能性としては、ロケットの爆発や宇宙ごみとの衝突、姿勢制御の異常なども考えられました。

計画されたスケジュール

CONTOURは、順調に飛行を続けていれば以下のような日程で探査を行う予定でした。

• - 2002年7月: 地球周回軌道へ打ち上げ
• - 2002年8月: 地球周回軌道から太陽周回軌道への移行
• - 2003年8月: 地球フライバイ実施
• - 2003年11月: エンケ彗星に100-160kmで接近
• - 2004年8月〜2006年2月: 地球フライバイを複数回実施
• - 2006年6月: シュワスマン・ワハマン第3彗星に接近
• - 2008年以降: 各種彗星への接近を試みる予定

しかし、探査機は通信途絶のため、これらの計画を実現することはありませんでした。CONTOURは、宇宙探査における挑戦の一例として記憶されています。

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