Core Architecture Data Model

Core Architecture Data Model (CADM) について

Core Architecture Data Model (CADM)は、エンタープライズアーキテクチャにおけるアーキテクチャ記述と構築に使われる情報の論理データモデルです。これは、DoDAF（Department of Defense Architecture Framework）内で定義された共通スキーマであり、アーキテクチャデータの相互運用性を高めることを目的としています。

CADMは、標準化された構造でDoDAFアーキテクチャ情報を取り込むために設計されており、DoDAFのデータ要件を支援するために開発されました。このデータモデルは、アーキテクチャ記述内および横断して統合を可能にするために、DoDAFアーキテクチャデータ要素のためのエンティティと関係性を定義します。これにより、ミッション領域、コンポーネント、連邦と連合パートナー間でのアーキテクチャ情報の交換が円滑に行われ、アーキテクチャデータの相互運用性が促進されます。

CADMの重要な側面は、DoDAFに従ってアーキテクチャを統合可能にする点です。具体的には、エンティティとオブジェクトのすべてのアーキテクチャ記述に対して、共通のデータ要素の定義、セマンティクス、データ構造の利用を規定しています。CADMを基盤として利用することで、複数のビューを横断する共通オブジェクトと忠実に関係付けることができます。また、現在承認されているCADMのバージョンに準拠することで、アーキテクチャ開発のための共通アプローチと、関連するアーキテクチャの基本的基盤の両方が提供されます。CADMへの準拠は、共通のアーキテクチャデータ要素の使用を保証します。

CADMの歴史

CADMは、元々1997年にアーキテクチャデータの論理データモデルとして発表されました。その後、1998年にC4ISRアーキテクチャフレームワークバージョン2.0.1のすべての要件を満たすように改訂されました。初期のCADMは、アーキテクチャ情報がどのように組織化されるかの概念的な視点を提供しました。

1998年以降、CADMは進化を続け、現在はデータベースの実装に必要なデータ型、省略された物理名、ドメイン値を提供する物理的な視点も持つようになりました。物理データモデルとしてのCADMは、データベース設計を構成し、データベースの自動生成に使用できます。

CADM v1.01は、2003年8月にDoDアーキテクチャフレームワークv1.0とともにリリースされました。このDoDAFバージョンでは、C4ISRフレームワークv2.0が再構築され、ガイダンス、製品説明、補足情報が2巻とデスクブックで提供されました。また、アーキテクチャの原則と実践の適用範囲をC4ISRコミュニティだけでなく、すべてのミッション領域に拡大しました。

CADM v1.5は、2007年4月にDoDアーキテクチャフレームワークv1.5とともにプレリリースされました。DoDAF v1.5は、DoDAF v1.0の進化版であり、DoDコンポーネントがアーキテクチャ記述の開発と使用で得た経験を反映しています。この移行バージョンでは、ネットセントリックの概念をアーキテクチャ記述に反映させる方法に関する追加ガイダンスが提供され、アーキテクチャデータ管理と、部門全体でのアーキテクチャの連携に関する情報が含まれています。また、以前のCADMバージョンを簡素化したネットセントリック要素を含むプレリリースCADM v1.5が組み込まれています。

DoDAF v2.0では、DoDAFメタモデル(DM2)が以前のバージョンのDoDAFをサポートしていたCADMを置き換えるように取り組んでいます。DM2は、アーキテクチャドキュメント内でのデータの使用に関する読み手の理解を促進するデータ構成です。CADMは、以前のバージョンのDoDAFで作成されたアーキテクチャのサポートにおいて継続して使用できます。

CADMの主要要素

CADMの主要要素は以下のように定義されます。

コア: アーキテクチャの目標（相互運用性、投資最適化など）を達成するために、開発、検証、維持する必要があり、アーキテクチャの懸念事項全体で共有されるべきアーキテクチャ情報の不可欠な要素です。
アーキテクチャデータ: アーキテクチャ製品とその関連分析ツールの構成要素（オブジェクトクラス）、その特性、機能、属性、および相互関係の厳密な定義です。
データモデル: ドメインのオブジェクト、それらの相互関係、およびそれらの特性を定義します。通常はデータベース設計を目的とします。データモデルには、概念、論理、物理の3つのレベルがあります。概念データモデルは最も高いレベルであり、ユーザーの概念をユーザーになじみのある用語でモデル化します。論理モデルはより形式的で、セマンティックの明確さと排他性を強調します。物理モデルは通常最も詳細で、データベース生成に必要なレベルです。

データモデリングと可視化

DoDAFは、アーキテクチャ分析をサポートするために、データモデリング（CADM）と可視化（製品とビュー）の側面を組み込んでいます。DoDAFのデータモデルであるCADMは、アーキテクチャデータエンティティ、それらの関係、およびデータエンティティ属性を定義し、基本的にアーキテクチャコミュニティの「文法」を指定します。これは、DoDAFと一致するアーキテクチャ成果物に関する「文」を作成するために、「文法」とともに「名詞」、「動詞」、「形容詞」のセットが含まれています。CADMは、アーキテクチャの必要な側面であり、アーキテクチャの視覚表現（製品）の背後にある意味を提供します。これにより、企業全体でのアーキテクチャデータの効果的な比較と共有が可能になり、アーキテクチャ全体の有用性に貢献します。

CADMは、データモデルのレベルをさらに詳細に記述します。

概念: ユーザーになじみのある用語でユーザーの概念をモデル化します。
論理: 一意のデータ表現を考慮した、より形式的なモデル。セマンティックの明確さと排他性、およびドメインレベルの完全性を強調します。
物理: データベースの実装に必要なすべての情報をモデル化します。

データ可視化は、意思決定分析をサポートするために、アーキテクチャデータをグラフィカルまたはテキストで表現する方法です。DoDAFは、基盤となるデータをユーザーフレンドリーな方法で表現するための製品を提供します。アーキテクチャ記述をどのように表現する場合でも、基盤となるデータ（CADM）は一貫しており、分析要件がマッピングされる共通の基盤を提供します。

CADMデータモデルのダイアグラム表記

図に示すように、ボックスはアーキテクチャデータが収集されるエンティティ（リレーショナルデータベースで使用される場合はテーブルを表す）を表しています。独立エンティティは正方形の角を持つ開いたボックスで、依存エンティティは丸い角で示されます。エンティティ名は、開いたボックスの外側上部にあります。ボックス内のテキスト行は、そのエンティティの属性を示しています（リレーショナルデータベースで使用される場合、エンティティテーブルの列を表します）。各ボックスの水平線は、プライマリキー属性（エンティティの一意のインスタンスを見つけるために使用される）を非キー記述属性から分離します。

円と下に線が付いた記号はサブタイピングを示しており、下部に接続されているすべてのエンティティは、記号の上部に接続されているエンティティの重複しないサブセットです。関係は、点線（非識別）および実線（識別）の関係で表され、子のエンティティ（実線のドットに最も近いエンティティ）は、親エンティティの各インスタンスに関連付けられたゼロ、1つ、または複数のインスタンスを持ちます。

基本のアーキテクチャ要素

DoDAFのアーキテクチャ製品に対応するアーキテクチャデータリポジトリには、次のような基本的なアーキテクチャ要素に関する情報が含まれています。

組織ノード: 組織、組織タイプ、および運用（人間）役割を含みます。（役割は、スキル、職業、職業専門、または役職である場合があります）。
運用活動: ユニバーサルジョイントタスクリスト（UJTL）で定義されたタスクなどを含みます。
情報とデータ: ドメインデータベースおよびその他の情報資産ソース（ネットワークセントリックである可能性あり）からの情報と、その情報を実装するシステムデータです。これらの情報源とシステムデータは、情報交換またはシステムインターフェイスの詳細を定義する場合があります。
システムノード: 物理エンティティに関連付けられたノードだけでなく、システムに関連付けられたノードも含まれ、施設、プラットフォーム、ユニット、または場所である場合があります。
システム: システムファミリー（FOS）およびシステムオブシステム（SOS）を含み、ソフトウェアおよびハードウェア機器アイテムが含まれます。
システム機能: 運用活動によって要求され、1つまたは複数のシステムによって実行されます。
パフォーマンス: システム、システム機能、リンク（物理リンク）、コンピューターネットワーク、およびシステムデータ交換のパフォーマンス特性を指します。
標準: テクノロジー、システム、システムノード、およびデータに関連付けられており、情報処理、情報転送、データ、セキュリティ、および人間とコンピューターのインターフェースに関する技術標準を指します。
テクノロジー: 将来のテクノロジーを含み、システムや、そのようなテクノロジーの使用に関する新しい標準に関連しています。

この図に示されている（概念的な）関係には、次のものが含まれます（他にも多数あります）。

運用ノードは多くの運用活動を実行します。
運用ノードは情報を必要とします。
情報はシステムに関連しており、標準に関連付けられているデータとして実装されます。
システムはシステム機能を実行します。
システムにはパフォーマンス特性があります。システムとパフォーマンスの両方が実行されているシステム機能に関連している場合があります。

これらの関係により、ネットワーク、情報の流れ、情報要件、インターフェースなど、多くの種類のアーキテクチャおよび関連情報を表現できます。

関係モデル

NASA内のCADMに対応するものは、NASA Exploration Information Ontology Model（NeXIOM）であり、探査プログラムの決定を推進するエンジニアリングおよびプログラムデータをキャプチャして表現するように設計されています。NeXIOMは、情報を交換する必要があるさまざまなシミュレーションツールおよびモデルがアクセスできるリポジトリであることを目的としています。

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