Cube (曲)

Cube：星野源による映画主題歌の深淵

2021年10月、星野源の楽曲「Cube」が配信限定シングルとしてリリースされました。これは、映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主題歌として書き下ろされた作品です。同映画のオリジナル作品『CUBE』から受けた衝撃、そして社会や人間への怒りといった複雑な感情が、この楽曲の制作の原動力となりました。

音楽的特徴：異質なビートとドラマティックな展開

「Cube」は、その独特な音楽性で多くのリスナーを魅了しています。過激で前衛的なビート、オルガン、ベースが織りなすアンサンブルは、聴く者の心を掴んで離しません。腕が6本、足が4本ある人が叩くようなドラム、手が4本のオルガン奏者、という星野源自身の比喩表現からも、その非現実的で実験的なサウンドアプローチが伺えます。

楽曲の構成も非常に特徴的です。ドラムンベースとスピーディなスリップを融合させたようなイントロから始まり、サビではハーフタイムに移行。2番へのブリッジでは2ビート系の疾走感や8ビートが織り交ぜられ、展開に変化をもたらします。そして、ラストサビではメロディのリズムとユニゾンした、フリーパートのような一節を経て、2ビートで駆け抜けるというドラマチックな展開を見せています。共同編曲には、星野源作品において「創造」や「不思議」でもタッグを組んだmabanuaが参加し、楽曲に深みを与えています。

詩的世界：虚構と現実の曖昧な境界線

歌詞においても「Cube」は、星野源の作家性を際立たせています。映画の物語、シアター、そして日常生活をシームレスにつなぐ歌詞は、虚構と現実の境界線を曖昧に表現。ある意味、映画体験そのものをメタ的に歌い上げているとも解釈できます。この歌詞によって、楽曲は単なる映画主題歌の枠を超え、より普遍的なテーマへと昇華されています。

チャート成績と制作陣

「Cube」は、リリース後、ビルボード・ジャパンソングスチャートにおいて、初登場4位という好成績を収めました。ダウンロードチャートでは2位を獲得し、ラジオチャートでは1位を獲得するなど、幅広い層からの支持を集めています。

楽曲制作には、星野源自身に加え、mabanua、櫻田泰啓、長岡亮介といった実力派ミュージシャンが参加。星野源はボーカル、コーラス、オルガン、ハンドクラップ、プログラミングを担当。mabanuaはエレクトリックベース、オルガン、プログラミングを担当しています。その他、長岡亮介がコーラスアレンジやエレクトリックギターを担当するなど、豪華な布陣となっています。ミュージックビデオのディレクションは、数々の星野源作品やアーティストのMVを手掛けてきたMIKIKOが担当し、映画『CUBE 一度入ったら、最後』に出演した菅田将暉が出演しています。

まとめ

「Cube」は、星野源の音楽的実験と、映画『CUBE 一度入ったら、最後』の世界観が見事に融合した、挑戦的な楽曲です。その前衛的なサウンド、メタ的な歌詞、そして豪華な制作陣によって生み出された、唯一無二の作品と言えるでしょう。この楽曲を通して、星野源のアーティストとしての深みと、映画『CUBE 一度入ったら、最後』の魅力を改めて感じることができます。

もう一度検索