Cut (雑誌)

カルチャー誌『CUT』：日本のポップカルチャーを彩る一冊

1989年にロッキング・オン社より創刊された『Cut』（現在は誌名ロゴを『CUT』にリニューアル）は、日本のカルチャーシーンを長年にわたって深く掘り下げてきた雑誌です。当初は隔月刊誌としてスタートし、エディ・マーフィを表紙に迎えた1990年1月号で幕を開けました。その後、1998年からは月刊誌へと移行。邦画・洋画、音楽、アニメ、マンガ、アイドル、俳優、声優など、多岐にわたるカルチャー分野を網羅するその幅広いアプローチが、多くの読者から支持されています。

ビデオリサーチ社の調査によると、読者の6割以上を女性が占めている点が特徴的です。これは、『CUT』が女性読者の感性に訴えかけるような、多様なコンテンツを提供してきた証と言えるでしょう。映画レビューはもちろんのこと、音楽シーンの最前線、注目のアニメ作品の紹介、人気マンガの考察、アイドルや俳優への独占インタビューなど、常に時代のトレンドを捉えた魅力的な記事が掲載されています。

創刊以来、数々の著名な編集者やデザイナーが『CUT』に関わってきました。初代編集長は渋谷陽一氏。その後、佐藤健氏、宮嵜広司氏、古河晋氏、内田亮氏などが編集長を務め、各々の個性と手腕によって雑誌の方向性が磨かれてきました。アート・ディレクション／デザインにおいても、清水正己氏、中島英樹氏、田中力弥氏、関万葉氏など、第一線で活躍するクリエイターたちが、雑誌のビジュアル面を支えています。

『CUT』の魅力は、単なる情報提供にとどまらない点にあります。各分野の第一人者への深掘りインタビューや、独自の視点による批評、そして読者の心に響くエッセイや連載企画など、多様なコンテンツを通して、読者に深く考えさせ、新たな発見を提供することに注力しています。

特に印象的なのは、過去に掲載された数々の連載企画です。たとえば、映画監督三池崇史氏による連載や、俳優菅田将暉氏と仲野太賀氏の対談企画、山田ルキ子氏による映画コラムなど、著名人たちの生の声や視点に触れることができる貴重な機会を提供してきました。

また、『CUT』は、単なる雑誌にとどまらず、書籍出版にも力を入れています。黒澤明、宮崎駿、北野武といった巨匠を取り上げた書籍から、人気アーティストや俳優のポートレート集、小説まで、多種多様な書籍を発行。これらは、雑誌の記事をさらに深く掘り下げた内容や、雑誌では紹介しきれなかった情報を提供しています。

そして、『CUT』の歴史において、大きな話題となった重版号も数多く存在します。例えば、2015年8月号のμ's表紙、2019年1月号の関ジャニ∞表紙、2019年10月号のまふまふ表紙など、人気アーティストやアイドルを特集した号は、大きな反響を呼び、発売月に重版が決定するほどでした。

1994年に創刊された姉妹誌『H』も、当初は独立した雑誌でしたが、2008年12月号以降は『CUT』の増刊として不定期に発行されています。

『CUT』は、単なるエンターテイメント誌ではなく、日本のポップカルチャーを深く理解するための重要な媒体です。これからも、独自の視点と高い編集力で、日本のカルチャーシーンを彩り続けることでしょう。

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