Cygwin/X

Cygwin/X (XWin) は、Microsoft Windows上でX Window Systemの機能を提供する実装の一つであり、X.Org Serverを基盤としています。Cygwinプロジェクトの一部として、Cygwinの標準セットアップシステムを通じてインストールできます。

ライセンスについて、Cygwin自体はGNU General Public License (GPL) の下で提供されていますが、Cygwin/XはX.Org Serverと同様にX11 Licenseを採用しています。これは、ソフトウェアの利用と配布に関する柔軟性を高めるための選択です。

Cygwin/Xの歴史を振り返ると、当初はXFree86を使用していましたが、そのライセンスがGPLと互換性を持たなくなったため、現在はX.Org Serverに移行しています。この変更は、継続的な開発とライセンスの整合性を保つ上で重要な転換点でした。ソースコードはX.Org Serverの`hw/xwin`ディレクトリに格納されており、その構造と動作を理解する上で参考になります。

また、Cygwin/Xから派生したプロジェクトとして、MinGW環境向けのXmingが存在します。これは、Windows環境でのX Window System利用をさらに広げるための代替手段となります。

利用方法

Cygwin/Xを利用するには、まず`setup-x86.exe`または`setup-x86_64.exe`を用いて、`xorg-server`と`xinit`をインストールする必要があります。これらのパッケージは、X Window Systemの基本的な機能を提供します。

インストール後、マルチウィンドウモードで起動する場合は`startxwin`コマンドを、シングルウィンドウモードで起動する場合は`startx`コマンドを使用します。Cygwin/XはWindowsのタスクトレイに常駐し、ここから終了操作を行うことが可能です。

リモートマシン上で動作するアプリケーションをCygwin/Xで表示させるには、まずCygwin/Xのターミナルから`ssh -Y username@remote_hostname_or_ip_address`コマンドを実行し、リモートマシンに接続します。その後、リモートマシン上でアプリケーションを実行することで、Cygwin/Xを通じて表示できます。これにより、リモート環境での作業効率が向上します。

モード

Cygwin/Xは、以下の3つの表示モードをサポートしています。

シングルウィンドウ: X11ルートウィンドウが、Microsoft Windowsの単一の境界付きウィンドウとして表示されます。このモードは、X Window Systemの全体を一つのウィンドウとして扱いたい場合に便利です。
マルチウィンドウ: X11の各トップレベルウィンドウが、それぞれMicrosoft Windowsの境界付きウィンドウとして表示されます。このモードでは、XアプリケーションのウィンドウがWindowsのウィンドウとして個別に扱えるため、より直感的な操作が可能です。
ルートレス: Microsoft Windowsの境界付きウィンドウは使用せず、オーバーレイの形でX11のルートウィンドウが表示されます。このモードでは、X11側のウィンドウマネージャを自由に利用できるため、より高度なカスタマイズが可能です。

関連項目

Xming

参照

* Cygwin/X 公式ウェブサイト

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