D-188A (航空機)

D-188A 戦闘機の概要

D-188Aは、1950年代にアメリカのベル・エアクラフト社によって設計が進められた戦闘機です。アメリカ空軍向けに開発されたこの機体は、特筆すべきはその垂直離着陸能力です。しかし、最終的にはモックアップ段階で開発が停止される運命にありました。

開発背景

ベル社は、空中での機動性を向上させるために垂直離着陸能力を持つ戦闘機の構想を持っていました。最初にアメリカ海軍がこのアイデアに目を付け、1955年にはアメリカ空軍も関心を示しました。その結果、海軍と空軍それぞれに特化した型のD-188が開発されることになりました。空軍型のD-188Aは、最大速度マッハ2.3を目指して設計が進められていました。

設計の特徴

D-188Aの特徴的なデザインには、肩翼配置の短い主翼が採用されており、主翼端にはそれぞれ2基ずつのJ89-GE-5ジェットエンジンが設置されていました。このエンジンは、ティルトジェット方式を用いており、水平飛行や垂直離着陸の際に動くことができるようになっていました。

さらに、機体の前部およびコックピットの後方には、リフト用のJ85-GE-19ジェットエンジンが2基（垂直方向に配置）搭載されていました。インテイクや排気口には扉が設けられており、水平飛行中にはこれらの扉が閉じる仕組みとなっています。このように、4基のエンジンによって垂直離着陸を実現しつつ、さらに2基のJ89-GE-5エンジンが胴体の後部に配置され、水平飛行のための推力を提供していました。

操縦士は8基のエンジンに対する推力の調整を一手に行うことが求められました。設計自体は非常に進んでいたものの、1960年に完成したモックアップは、1961年に実用性に関する懸念から開発が中止されることになります。

名称の変遷

D-188とD-188Aに対する正式名称の提案も行われ、D-188はF3L、D-188AはF-109の名称が提案されました。D-188についてはXF3L-1として名称が与えられたという説もありますが、XF-109に関しては2度の要請があったものの却下されたため、公式には採用されませんでした。F-109の名称は、他の機体に使用されることになり、従ってD-188AにXF-109という名前が関連付けられることはありませんでした。

要目・仕様

• - 全長: 18.9m
• - 全幅: 7.24m
• - 全高: 3.89m
• - 自重: 6.3t
• - エンジン: J89-GE-5ジェットエンジン6基（アフターバーナー時推力1.7t）、J85-GE-19ジェットエンジン2基（推力1.4t）
• - 乗員: 1名
• - 最大速度: マッハ2.3
• - 航続距離: 約3,000km
• - 武装: 20mm機関銃など

文化的な影響

D-188Aはいくつかのメディアにも登場しています。例えば、『日本アパッチ族』では、日本空軍の戦闘爆撃機として「F-109」が描かれ、軍のクーデターが発生した際に空爆を行うシーンがあります。また、『バビル2世』には、D-188Aをベースにした戦闘機が登場し、特定の基地でバビル2世と交戦するという設定になっています。

関連機体

関連する機体としては、EWR VJ 101などが挙げられます。これらの機体もまた垂直離着陸能力を持っており、当時の航空技術の進展を反映しています。

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