EWR VJ 101

EWR VJ 101: 西ドイツのVTOL戦闘機実験機

EWR VJ 101は、西ドイツにおいて開発された垂直離着陸（VTOL）ジェット戦闘機の実験機である。この機体は、ドイツ語で「Vertikal Jäger」あるいは「Versuchsjäger」という名称に由来し、垂直戦闘機や試作戦闘機を意味する。VJ 101は、F-104スターファイターの後継機の基礎となることが期待されていたが、1968年に5年間にわたるテストプログラムが終了し、プロジェクトはキャンセルされた。特筆すべきは、この機体がマッハ2で飛行できるように設計された最初のV/STOL（垂直／短距離離着陸）機の一つであった点である。

設計と開発

VJ 101の開発は、航空機設計の長い歴史を持つハインケルとメッサーシュミットの協力によって始まった。1959年、これらの企業とベルコウは共同でEWR（エア・ウェポン研究所）を設立し、VJ 101Cの製造に取り組んだ。新しいコンセプトは、初期の開発計画の設計要素を融合し、流線型の滑らかな機体で実現された。

特にVJ 101は、両翼端に搭載されたナセルに内蔵されたエンジンが、水平から垂直への回転を可能にする設計を採用し、これにより高い機動性を確保していた。また、メインエンジンに加えて、ホバリング時に使用するためのリフトエンジンも装備されており、これらは胴体内部に収められていた。これにより、VJ 101は高度なVTOL機能を具現化していた。

1960年初頭、EWRは「Wippe」（シーソー）という名のテスト・リグを開発し、基本的な1軸コントロールシステムを検証した。このテスト・リグは、中央にリフト用エンジンが搭載された水平の梁に操縦席が設けられたものであった。後には「ホバーリグ」が作成され、こちらはVJ 101Cの骨組みに近い形状を持ち、ロールス・ロイス RB106エンジンを利用して飛行特性の確認を行った。

テストと評価

実際の試作機としてX-1号機とX-2号機の2機が製造され、X-1号機は1963年4月10日に最初のホバリング飛行を成功させた。このホバリングから水平飛行への移行は1963年9月20日に達成され、VJ 101C X-1号機は合計で40回の空力飛行、24回のホバリング飛行、および14回の完全な遷移を行った。

それらのテスト中、VJ 101は垂直離着陸機として初めて音速の壁を破る栄誉を手にしたが、1964年9月には自動操縦装置の不具合が原因で墜落事故が発生した。さらに、1964年7月29日には、アフターバーナーなしでマッハ1.04を達成したことが記録されている。

その後、1965年10月22日に新しい自動操縦装置を搭載したX-2号機が遷移飛行に成功し、引き続きテストが行われた。しかし、開発プロジェクトは1968年に中止されてしまい、最終的なVJ 101D型は製造されなかった。なお、VJ 101C X-2号機は現在、ミュンヘンのドイツ博物館に展示されている。

主要特性

• - 乗員: 1名
• - 全長: 15.70m (51 ft 6 in)
• - 全幅: 6.61m (21 ft 8 in)
• - 全高: 4.10m (13 ft 6 in)
• - 最大離陸重量: 6,100kg (13,420 lb)
• - 最高速度: マッハ1.04
• - エンジン: 6基のロールス・ロイス RB145 ターボジェット（各2,750lbf (12.20kN)の推力）

関連項目

• - ドルニエ Do 31
• - VFW VAK 191B

この独特な航空機は、その革新的な技術と挑戦的な設計により、航空史にその名を刻んでいる。

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