D-558-2 (航空機)

D-558-2 スカイロケット

D-558-2は、アメリカ合衆国の航空機メーカー、ダグラス・エアクラフトによって製造された実験機であり、その愛称は「スカイロケット」です。この機体は、超音速飛行の研究を目的に、ターボジェットエンジンとロケットエンジンを搭載しています。特にこの機体は、1953年11月20日に世界初のマッハ2の有人飛行を成功させたことでも知られています。

設計・開発の経緯

D-558計画は複数の段階で進められ、第2段階にあたるD-558-2は、最初のジェット機D-558-1の経験を基に異なる設計が施されています。D-558-1がエンジン混載に適していないことが判明し、D-558-2では新たに3機が発注されました。尾翼や主翼はそれぞれ35度、40度の後退角が付けられ、マグネシウムやアルミニウムが主な構造材として使用されました。

エンジンと燃料システム

D-558-2は、離陸と着陸時に使用されるJ34-40ターボジェットエンジンを搭載しており、高速飛行時にはLR8-RM-6ロケットエンジンがその能力を発揮します。機体内には3500リットル近くの燃料を積むことができ、様々な燃料が使用されていました。この設計は、機体の航続距離を最大限に引き出すために重要でした。

操縦席の設計

操縦席は機体の外面と一体化し、当初は限られた視界を提供していましたが、その後、改良により操縦席が機体外に張り出すデザインに変更されました。この改良により視界が向上し、パイロットが緊急時に切り離して脱出できる構造も維持されました。

運用と実績

D-558-2は1948年にカリフォルニア州のミューロック陸軍飛行場で初飛行を果たしました。この機体は、超音速の速度領域における後退翼機の飛行特性を理解する目的で注目されました。当時の航空科学において、ピッチアップ現象など、速度が上がる時に発生する課題が重要視されていました。

収集されたデータ

3機のD-558-2は、313回の飛行中に多くの貴重なデータを収集しました。このデータは、飛行特性、安定性、抗力、揚力、バフェティングといった重要な要素に対する理解を深めるものでした。同時期の遷音速機とのデータ比較も行われ、結果的には航空力学の進歩に寄与しました。

特異な飛行記録

特に注目すべきは、1953年の飛行でクロスフィールドがマッハ2.005に達した際の業績です。この記録は、有人飛行でのマッハ2突破を示すものであり、航空史に新たな足跡を残しました。その後、追加の研究飛行では、機体の構造にかかる負荷や動的安定性に関するデータも収集されました。

結果と影響

D-558-2を通じて得られた情報は、様々な航空機設計に大きな影響を与えました。特に、その成果はセンチュリーシリーズの機体設計に活かされ、後退翼機のパフォーマンス向上に寄与しました。結果として、航空機の安全性と操作性の向上に貢献したのです。

エンジンシステムの詳細

1号機はターボジェットエンジンを搭載し、出力は3000lbfでした。2号機以降はロケットエンジンに変更され、より高い出力を発揮しました。これにより、機体全体が進化し、さらなる性能向上がなされました。D-558-2は、初期の試作機として航空技術に新たな基盤を提供し、後続機の設計に大きな足がかりとなりました。

D-558-2は、アメリカの航空史において特筆すべき機体であり、超音速関連の実験における強力な証言者であることは間違いありません。

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