D20システム

d20システムとは

d20システムは、2000年にウィザーズ・オブ・ザ・コースト（WotC）が発表したテーブルトークRPGのルール体系です。これは、人気RPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』（D&D）の基幹システムをベースに開発されました。

d20システムの特徴

d20システム最大の特徴は、20面ダイス（d20）を使用することです。プレイヤーの行動判定は、このダイスの出目と状況に応じた修正値を合計し、ゲームマスターが設定した基準値と比較して成否を決定します。このシステムは、攻撃の成否判定など、ゲーム中の様々な状況に適用されます。

ルールはウェブサイトで無料公開されており、誰でも自由にゲームを制作・利用できます。この自由度の高さから、アメリカではプロ・アマチュアを問わず、多くのデザイナーがd20システムを使用したゲームを開発しました。

D&Dのバージョンアップに合わせ、d20システムも進化してきました。当初はD&D第3版をベースにしていましたが、第4版の登場に合わせてルールが改訂されました。

d20システムのライセンス

d20システムを利用したゲームの商業展開は、原則として許可不要です。ただし、それは同時に、他者によるコピーを容認することも意味します。無料配布を前提としたアマチュアゲームには適していますが、商業製品にはリスクがあります。そのため、WotCの著作権規約に従い、d20ライセンスを購入することで「d20システムロゴマーク」を商品に付与できます。このロゴが付いた製品は、WotCの著作権規約によって保護されます。

d20システムの基本的な規約では、ルールの選択的な採用や改造が可能です。既存製品との互換性も任意です。この考え方は、オープンソースのコンピュータソフトウェアに近く、汎用システムであるガープスとは異なります。

ライセンスは、D&D3版/3.5版ベースとD&D4版ベースで区別されます。

アメリカでのd20システムの隆盛

アメリカのプロデザイナーにとって、d20システムを利用するメリットは主に2点あります。

開発費を抑えられること
D&Dの膨大なユーザーを潜在顧客として取り込めること

D&Dのサプリメントを正式に発売するにはサードパーティーへの参加が必要ですが、d20システムのルールブックであれば、ロゴマークを購入するだけで販売できます。この手軽さが、開発力の小さいメーカーだけでなく、D&Dに匹敵するコンテンツを持つメーカーにも魅力となりました。

これまでD&Dのシステムに馴染めなかったゲーマー層に対し、d20版を制作することでアプローチが可能になりました。その結果、「クトゥルフの呼び声」「トラベラー」「ファイティング・ファンタジー」「エヴァークエスト」といったビッグタイトルがd20システムに参入しました。

d20システムは、アメリカのテーブルトークRPG市場を席巻し、多くのメーカーが参入しました。一時期は、d20システム以外の独自ルールの新製品がほとんど発売されない状況さえありました。もっとも、現在ではd20バブルは沈静化しています。

D&Dプレイヤーを戯画化した漫画「マンチキン」が、d20システムベースのD&Dサプリメントとして発売されるなど、D&Dの批評がそのままD&Dサプリメントになるという現象も起きました。

日本でのd20システム

日本では、ホビージャパンによるD&Dの展開は好調ですが、d20システム自体の展開は限定的です。ルールの無料公開は英語のみで、日本語翻訳権が開放されていないため、アマチュアデザイナーによるオリジナルゲーム製作の障壁となっています。

しかし、d20システムのコンセプトとビジネスモデルは評価されており、ソードワールドRPGをベースにしたグループSNEの「2d6システム」や、アルシャードをベースにしたF.E.A.R.の「スタンダードRPGシステム」など、d20システムに影響を受けた共通システムが登場しています。

もう一度検索