DDD (小説)

『DDD』について

『DDD』（Decoration Disorder Disconnection）は、奈須きのこが手がけた独特な伝奇小説です。本作はアダルトゲーム『月姫』や『Fate/stay night|Fate_stay_night』で知られるTYPE-MOONのシナリオライターによるもので、イラストはこやまひろかずが担当しています。2004年から講談社の書籍として不定期連載が始まり、作品の特徴としては、悪魔憑きを中心としたストーリーが展開されている点が挙げられますが、従来の魔術や魔法の要素は含まれていません。これは、作品自体が独自の世界観を持ち、従来の作品とは異なる新しい視点を提供するものとなっています。

概要

本作では、「アゴニスト異常症」という奇病に苦しむ人々が描かれ、この病に感染した者は「悪魔憑き」と呼ばれます。作中の世界は現在の日本であり、年号が明記される点が特徴的です。物語の主軸を担うのは、失った腕を義手つきの迦遼海江と共に過ごしながら、奇妙な悪魔払いの営みを行う石杖所在という男性です。物語はこの二人を中心に進行し、様々な人々との関わり合いや悪魔にまつわる事件を通じて、社会に潜む陰と光を描き出します。

物語の背景

『DDD』の世界には、「アゴニスト異常症」と呼ばれる病の蔓延があり、社会における理解が進まないなかで、感染者は日々苦しんでいます。この病は精神的な影響にとどまらず、身体をも変貌させるため、扱いが非常に難しく、精神科病院での隔離や治療が必要とされています。奈須きのこは、中でもこの病が果たす役割に焦点を当て、悪魔憑きとしての側面から人間の弱さや社会の脆さを描こうと試みています。

主なキャラクター紹介

• - 石杖所在（いしづえ ありか）：物語の主人公で本物の悪魔使い。大学生としての生活をしながら、義手を持つ迦遼海江と共に悪魔払いを行う。具体的には、心の脆さや弱さを持つ人々との関わりを通じて自身の成長を遂げていきます。

• - 迦遼海江（かりょう かいえ）：本物の悪魔で、石杖所在の雇い主。独自の能力を持ち、感情を形にした黒い義肢が特徴的。彼の存在は物語の大きな謎や興味を引き起こします。

• - 戸馬 的（とうま まと）：公安特務の監察官。石杖所在の監察官であり、悪魔憑きに対する冷酷な判断を下し、物語における重要な役割を果たします。

用語解説

• - アゴニスト異常症：現代病の一部として描かれ、精神的な問題が身体に影響を与えるもので、その症状は人格の変化や自己の喪失を引き起こす。

• - オリガ記念病院：A異常症患者を収容する国立病院で、隔離された環境での治療を行っています。この病院は、社会から隔離された患者の治療を専門に設計されており、その実態は非常に過酷です。

結論

『DDD』は、奈須きのこの世界観やキャラクターの深層に迫りながら、現代社会の抱える問題に深い洞察を与える作品です。物語を通じて、善悪の境界線や人間の脆さ、さらには新たな形の悪魔について探求する旅が繰り広げられます。独創的な設定と魅力的なキャラクターの数々が織りなすこの作品は、読者に深い感動と考察を促します。

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