DELICATE PLANET

access 3rdアルバム『DELICATE PLANET』

accessの3枚目のオリジナルアルバム『DELICATE PLANET』は、1994年5月25日にファンハウスからリリースされました。このアルバムは、accessにとって初のオリコン1位を獲得し、自己最高の27.7万枚のセールスを記録した作品です。8thシングル『SWEET SILENCE』と同時発売され、音楽ファンに大きな衝撃を与えました。

概要

アルバムのテーマは「近未来において、もし機械が生命を持ってしまったら」という斬新な発想から展開されるコンセプトアルバムです。タイトルには「地球が太陽系第3惑星であること」と「3枚目のオリジナルアルバムであること」という二重の意味が込められています。

収録されている先行シングル4曲は、全てロンドンのウエストサイド・スタジオでリチャード・ジェームス・バージェスによってリミックスされた「West Side Mix」として収録されており、シングルバージョンとは異なる新たな魅力を放っています。

音作りでは、前作よりも音数を減らし、アナログシンセサイザーでデジタルシンセサイザーのような繊細さを表現したり、デジタルシンセサイザーで生音のような、またはアナログシンセサイザーのような曖昧な音色を作り出すなど、音色の探求が行われました。

歌詞の面では、これまでの「単語で意味を伝える」スタイルから、「言葉は普通だが、曲の流れで何かを感じてもらえる」ように、テーマを固めてから制作されました。

初回限定盤にはオールカラーブックレットが付属し、2013年9月11日にはソニー・ミュージックダイレクトから、全曲リマスタリングされたBlu-spec CD2仕様で再発売されています。

クレジット上は「作詞・作曲：AXS」と表記されていますが、JASRACには貴水博之と井上秋緒がそれぞれ6曲ずつ作詞者として登録されており、前作よりも井上が作詞を手掛けた作品の比重が大きくなっています。

収録曲

1. SILVER HEART
2. 夢を見たいから - West Side Mix
3. STAY MY LOVE
4. PINK JUNKTION
5. REGRET
6. DECADE & XXX
7. TRY AGAIN - West Side Mix
8. FIND NEW WAY
9. BEAT PLANET

楽曲解説

SILVER HEART
映画「ブレードランナー」を下敷きに、「もしレプリカントが感情を持ち、恋に芽生えたら」というテーマで制作されました。メタリックなシンセサウンドとストリングスの融合が特徴です。
夢を見たいから - West Side Mix
シングルバージョンでは後ろに流れていたコーラスを前面に押し出し、コーラスだけのパートを作ることで、無機質なニュアンスを強調し、よりシンプルな構造にまとめられています。
STAY MY LOVE
access初の、リズムパートがないバラード曲です。ピアノとストリングスを主体とした構成で、木管楽器を意識した音色も加えながら、生音に近いバックトラックが展開されます。歌詞は「純愛」をテーマに、愛しい人を見守る感情が描かれています。貴水博之は、豊かな感情表現のために何度もリテイクを申し出たそうです。
PINK JUNKTION
「現実離れした世界を描くことで、より純度の高い真実を書き出す」というコンセプトで制作されました。浅倉大介は、貴水博之に「堅苦しく歌わないで」「寝転がって歌うつもりで」とリクエストし、独特のボーカルスタイルが生まれました。「JUNKTION」は「JUNK（ガラクタ）」をもじった造語です。
REGRET
「お互いに惹かれ合っているが、どうしようもない大人の恋」「目に見えない切なさ」など、人間の持つデリケートな感情を歌った、ミドルテンポのバラードです。
DECADE & XXX
当時「終了」宣言したTMNへのトリビュート的なメッセージが込められています。XXXは「Thanks, Good-Bye」と読みます。音色、メロディ、歌詞には、浅倉大介と小室哲哉の関係性やTM NETWORK|TM_NETWORKゆかりの言葉が織り込まれています。歌詞については、リリース時には貴水がTM関連のエピソードを元に書いたとされていましたが、JASRACには井上秋緒が作詞者として登録されています。
TRY AGAIN - West Side Mix
ボーカルは全パート新規録音され、貴水博之はハイトーンに固執せず、新しい音域での歌唱に挑戦しました。シングルバージョンよりもピアノが前面に出たアレンジになっています。
FIND NEW WAY
「夢を見たいから」の続編を想定して制作されました。よりポジティブで現実的なシチュエーションが描かれています。ロンドンのスタジオで、スタッフ総動員で録音された掛け声が特徴です。この曲でのみ聞くことができるドラムサウンドが使用されています。
BEAT PLANET
貴水博之は、Aメロの歌詞を自由に書いた後、「今までにない感じで書きたい」と思い、口語を意識して歌詞を制作。別々の4種類のリズムを混ぜ合わせ、独特のグルーヴを作り出しています。貴水は歌録りの際、「地球はデリケートな状態にある」というメッセージを込め、この曲をセットリストの最後にすることを望みました。ラップや童歌とも受け取れる歌い方が印象的です。

参加ミュージシャン・スタッフ

プログラミング&キーボード：浅倉大介
ギター：葛城哲哉
ギター：北島健二
レコーディング・エンジニア：大里正毅（Fun House）
ミキシング・エンジニア：大里正毅（Fun House）、リチャード・ジェームス・バージェス（Tbtg）
マスタリング・エンジニア：ブライアン・ガードナー（Bernie Grundman Mastering）
プロデューサー：井上哲生（Timemachine）、大里正毅（Fun House）
A&R：石田隆之（Fun House）
エグゼクティブ・プロデューサー：青木高貴（Timemachine）
スーパーバイザー：松村慶子（Timemachine）、原正志（Fun House）


『DELICATE PLANET』は、accessの音楽性をさらに深化させ、新たな境地を開いた重要な作品と言えるでしょう。

外部リンク

DELICATE PLANET - access official website
DELICATE PLANET(94年盤) - オリコン
DELICATE PLANET(2013年盤) - オリコン

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