DEMAGOG (キタニタツヤのアルバム)

キタニタツヤ『DEMAGOG』：社会と向き合う、激情と内省のメジャーデビュー

『DEMAGOG』（デマゴーグ）は、シンガーソングライター、キタニタツヤが2020年8月26日に発表したメジャーデビューアルバムです。本作は、初回生産限定盤（CD+DVD）と通常盤（CD）の2形態でリリースされました。

アルバム概要

キタニタツヤにとって3作目のアルバムとなる本作は、メジャーデビュー作として大きな注目を集めました。初回生産限定盤には、2020年6月26日にSHIBUYA CLUB QUATTROで行われた配信ライブ「Hug myself (inside)」のパフォーマンス映像とドキュメンタリー映像を収録したDVD「Hug myself (your side) ～Live & Document from 2020.06.26 (Fri.) SHIBUYA CLUB QUATTRO～」が付属しています。

サウンド面では、前作『Seven Girls' H(e)avens』のファンク、ダンスミュージックテイストと、前々作『I DO (NOT) LOVE YOU.』のオルタナティヴ・ロックの要素を融合。サポートドラマーMattのブラックミュージック的なリズムとキタニのベースが作り出すグルーヴを軸に、原点回帰としてギターロックを目指した意欲作です。制作にあたっては、Arctic Monkeys、Phoenix、Billie Eilish、Jacob Collier、Louis Coleといったアーティストから影響を受けたと語っています。

テーマとタイトル

本作のテーマは、「社会や日常の中で生じる嫌なことと、それに対する向き合い方」。アルバム前半の5曲で悪夢のような現実を描き出し、後半の2曲でそれに対する向き合い方を表現しています。

タイトルである「DEMAGOG」は、古代ギリシアの煽動的民衆指導者を意味します。キタニはこれについて、「自分にとっては、強い、理想的な人物像。ウジェーヌ・ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』という絵画のようなイメージ」と語り、「自分がそういう人間になれるかわからないけれど、強いことを言うアルバムを作ることができたら、今後の自分の人生において、いつか救いになると思った」と述べています。

収録曲とクレジット

収録曲は以下の通りです。

1. ハイドアンドシーク
2. パノプティコン
3. デッドウェイト
4. 人間みたいね
5. 悪夢
6. デマゴーグ
7. 泥中の蓮

アルバムの制作には、平畑徹也（Pf. & Mellotron）、Matt（Dr.）がサポートミュージシャンとして参加。ミックス・エンジニアはThe Anticipation Illicit Tsuboi @ RDS Toritsudai、マスタリング・エンジニアはJohn Greenhamが担当しています。

ライブパフォーマンス

アルバムリリース後には、YouTubeチャンネルでスタジオライブ「煽動」の映像がプレミア公開されました。また、全国ツアー「2nd Oneman Tour 2020 "DEMAGOG"」も開催されました（一部公演は中止）。

ツアーファイナルとなった東京公演は「2nd Oneman Tour 2020 "DEMAGOG" DAY 1 ／ DAY 2」と題して行われ、DAY2の公演は有料ライブ配信も実施されました。

まとめ

『DEMAGOG』は、キタニタツヤの音楽的な才能と内面の葛藤が色濃く反映された作品です。社会に対するメッセージ、原点回帰のサウンド、そしてライブパフォーマンスを通じて、彼の音楽世界を深く体験することができます。メジャーデビュー作にして、彼のキャリアにおける重要なターニングポイントとなったアルバムと言えるでしょう。

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