DF-224

DF-224：宇宙仕様コンピュータの詳細

DF-224は、1980年代以降の宇宙ミッションで使用するために開発された宇宙仕様のコンピュータです。ロックウェル・オートネティックス社によって製造されました。宇宙空間での修理やメンテナンスは非常に困難、あるいは不可能な場合が多いため、DF-224は高い信頼性を確保するために、徹底した冗長設計が採用されています。

主な特徴

冗長化されたCPU: 3つのCPUで構成されており、1つが運用され、残りの2つは予備として待機します。これにより、CPUに障害が発生した場合でも、ミッションを継続できます。
メモリ構成: メインメモリは6つのメモリユニットで構成され、各ユニットは8Kワード（24ビット）のめっき線メモリを搭載しています。合計で最大48Kワードのメモリ容量を実現しています。
柔軟なメモリ構成: ハッブル宇宙望遠鏡（HST）など、一部のアプリケーションでは、グレースフル故障モードを実現するために、より少ないメモリバンク構成が採用されました。一度に4つのメモリモジュールに電源を投入することで、最大32Kワードのメモリを使用できました。
冗長化されたI/Oプロセッサ: 3つのI/Oプロセッサを搭載し、CPUと同様に1つが運用、2つが予備として機能します。
冗長化された電源: 6つの独立した電力変換器で構成され、動作機能の範囲が重複しています。これにより、電源系統の信頼性を高めています。
固定小数点演算: 2の補数形式の固定小数点演算を採用しています。

スペック

DF-224は、現代のコンピュータと比較すると、サイズが大きく、処理速度も遅いものでした。

サイズ: 約45×45×30 cm
重量: 約50 kg
クロック速度: 1.25 MHz

ハッブル宇宙望遠鏡での使用

DF-224は、ハッブル宇宙望遠鏡（HST）に搭載され、宇宙での観測ミッションを支えました。初期のサービスミッション（SM1）では、処理能力を向上させるために、386コプロセッサが追加されました。このコプロセッサにより、クロック速度は15 MHzに向上しました。

その後のハッブルサービスミッション3Aでは、DF-224（コプロセッサ付き）は、より高性能なアドバンストコンピュータ（Advanced Computer）に置き換えられました。アドバンストコンピュータは、25 MHzのIntel i486プロセッサを使用し、ストレージ容量も大幅に増加しました。

その他の用途

DF-224は、スペースシャトルに搭載されるコンピュータの候補の一つでしたが、最終的には採用されませんでした。また、スペースシャトルに搭載するための再使用可能なアジェナ上段のバージョンで基準線となりましたが、これは実現しませんでした。

参照項目

IBM RAD6000：より近代的な宇宙仕様のコンピュータ
RAD750：RAD6000の後継バージョン
Mongoose-V：MIPS-3000をベースとした耐放射線プロセッサ
* MIL-STD-1750A 16ビットプロセッサ：様々な実装が存在し、いくつかの宇宙機で使用されています。

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