DRAGON (電気グルーヴのアルバム)

電気グルーヴの6枚目のオリジナルアルバム『DRAGON』は、1994年12月1日にキューン・ソニーレコードからリリースされました。前作『VITAMIN』から約1年ぶりとなるこの作品は、電気グルーヴの音楽性をさらに深化させ、実験的なアプローチとユーモアが融合した独自のサウンドを確立しました。

背景

『VITAMIN』リリース後、電気グルーヴはライブツアーを行い、観客との交流を深めました。しかし、ツアー中にはメンバー間の意見の相違やアクシデントも発生し、グループ解散の危機に瀕することも。その一方で、ツアー最終日には即興でクラフトワークの「放射能」を演奏するなど、新たな音楽の可能性も探求していました。また、この時期にはコンピレーションアルバムのリリースや書籍の出版など、多岐にわたる活動を展開していました。

制作

本作の制作は1994年6月頃から始まりました。メンバーは積極的に新しい機材を導入し、シンセサイザーの音作りやリズムの構築に独自のアイデアを盛り込みました。特に、リズムマシンでタムを重ねていく手法は、既存のブレイクビーツとは異なる、独特のグルーヴを生み出すことに貢献しました。石野卓球は、過去作では上モノに注力していたのに対し、本作では「どっしりと芯になるようなもの」を心掛けて制作したと語っています。

音楽性

『DRAGON』は、インストゥルメンタル曲が中心でありながらも、バラエティに富んだ楽曲が収録されています。先行シングルとしてリリースされた「ポポ」は、フジテレビ系子供番組『ポンキッキーズ』で使用され、子供たちの間で人気を博しました。また、「カメライフ」はフジテレビ系バラエティ番組『学校では教えてくれないこと!!』のエンディングテーマに、「虹」はヤマハ発動機のコマーシャルソングや日本テレビ系クイズ番組『マジカル頭脳パワー!!』のエンディングテーマとして使用され、幅広い層に支持されました。特に「ゴワザーム地方民謡」は歌詞が架空の言語で構成されており、意味が分からなくてもサウンド全体を楽しめるという、新たな試みも行われました。

アートワーク

アルバムジャケットには、ヴィンテージギターの写真が使用されています。これは、メンバーがギターコレクションの図鑑を見ていた際に、「ピックアップのところとか、あまりロックっぽくない部分を使いたいね」という話し合いから決定されたものです。また、内ジャケットに記載されたアニメイラストは、メンバーが当初イメージしていたものとは異なり、コミカルな仕上がりとなりました。これは、アニメ制作会社とのコミュニケーション不足が原因でしたが、結果的にアルバムのユニークな個性を際立たせる要素となりました。

評価と影響

『DRAGON』はオリコンアルバムチャートで最高位13位を獲得し、17.6万枚のセールスを記録しました。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「テクノを一般のマーケットに普及させたのが電気グルーヴである事実は誰も否定できない」と評価され、その革新的なサウンドが高く評価されました。本作は、電気グルーヴの代表作の一つとして、現在も多くのファンに愛され続けています。

電気グルーヴの『DRAGON』は、彼らの音楽的な探求心と実験精神が結実した作品であり、テクノシーンに新たな風を吹き込んだ重要なアルバムと言えるでしょう。

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