Dear Feeling

Dear Feeling

『Dear Feeling』は、北海道を拠点とする音楽制作集団I'veに所属する歌手、KOTOKOとAKIによるユニット「KOTOKO TO AKI」名義で発表された初のEP作品です。

2000年12月29日に、I'veの制作とFUCTORY Records、ビジュアルアーツの協力のもと、インディーズ盤としてリリースされました。この作品は、年末に開催されたコミックマーケット59の会場および、イベント後の通信販売ルートを通じて提供されました。

本作は、KOTOKOとAKIがI'veに加入し、本格的な歌手活動を開始して間もない時期にリリースされた、彼女たちにとってI've関連での記念すべき初リリース作品です。特にKOTOKOにとっては、同時期に自主制作アルバム『空を飛べたら…』も発表しており、精力的な活動の端緒を飾るリリースとなりました。

収録内容

EPには、KOTOKOとAKIのデュエット曲、それぞれのソロ曲、そしてボーナストラックが収められています。

表題曲「prime」: KOTOKOとAKIによるデュエット楽曲であり、本作の顔となる一曲です。この曲にはプロモーションビデオが制作されており、遠くニューヨークの地で撮影が行われました。プロモーションビデオのショートバージョンおよびそのメイキング映像は、本作と同じくコミックマーケット59会場および通信販売で扱われたDVD『prime prototype』に収録されています。
カップリング曲「空より近い夢 -Second Track-」: こちらもKOTOKOとAKIのデュエット曲です。I'veのコンピレーションアルバム第2弾『verge』に収録されている、MELLとMIKIが歌唱する同名曲のカヴァーバージョンにあたります。
ソロ楽曲: EPには、KOTOKOおよびAKIそれぞれのソロ名義での楽曲も収録されています。KOTOKOのソロ曲である「明日の向こう」は、彼女がI'veに参加して最初にレコーディングを行った、思い入れの深い楽曲です。この曲について、KOTOKO自身は元々別のゲームの主題歌として制作され、別の歌手が歌う予定だったものの、ゲーム企画の中止により自身がオーディションを経て歌うことになったというエピソードを語っています。
ボーナストラック: I'veの初期コンピレーションアルバム『regret』（第1弾）と『verge』（第2弾）から選曲された楽曲のメドレーが特別に収録されています。

詳細な収録曲リストについては、別途参照ください。

KOTOKO TO AKIの活動と本作の意義

『Dear Feeling』のリリース後、KOTOKOとAKIは2001年を通じて「KOTOKO TO AKI」名義での活動を継続しました。この期間には、「恋愛CHU!」「SAVE YOUR HEART」「夏草の線路」といったPCゲームの主題歌を担当し、ゲームユーザーの間でその名を知られるようになります。

しかし、これらの楽曲は各ゲームのサウンドトラック盤にのみ収録され、「KOTOKO TO AKI」名義での単独の音楽ソフトとして発表されたのは、本作『Dear Feeling』が唯一の作品となりました。その後、AKIがI'veを離れたことにより、「KOTOKO TO AKI」としての活動は事実上終了しました。

本作は、ユニット名義での最初で最後のリリースであると同時に、I'veにおけるKOTOKOとAKIそれぞれのキャリアの非常に初期段階を記録した貴重な作品と言えます。特に表題曲「prime」は、その後の活動においても重要な楽曲であり、2009年にはKOTOKO自身によって「prime -"thank you" and "from now"-」としてセルフカヴァーされ、I'veのコンピレーションアルバム『I've MANIA Tracks Vol.II』に再録されました。

『Dear Feeling』は、まだ広く名が知られていなかった頃のKOTOKOとAKI、そして勢いを増しつつあったI'veの活動の黎明期を象徴する、歴史的なEPとして位置づけられています。

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