Debian Almquist shell

Debian Almquist shell（dash）は、軽量かつPOSIX互換を目指したUnixシェルであり、Debian版のAlmquist Shell（ash）として知られています。基本的な特徴はashと共通しており、詳細についてはashの記事を参照してください。この記事では、主にDebian版に固有の点や、Debianにおける利用について焦点を当てて解説します。

dashの誕生と特徴

dashは、1997年初頭にHerbert XuによってNetBSD版ashをベースにLinux版として開発されました。その後、2002年に「dash」に改名されました。bashと比較して、シェルスクリプトの実行速度が速く、依存するライブラリも少ないという特徴があります。また、アップグレード時の問題やディスク破損に対する信頼性が高いと評価されています。

dashの主な用途

dashは、以下の用途で使用されることを想定して開発されました。

フロッピーディスクへのインストール用シェル: サイズが小さいため、限られた容量のメディアにも適しています。
スーパーユーザー専用のシェル: システム管理に必要な最小限の機能を提供します。
/bin/sh の代替: POSIX標準に準拠したスクリプト実行環境を提供します。
シェルスクリプトのPOSIX互換性テスト環境: スクリプトがPOSIX標準に正しく従っているかを確認できます。

DebianとUbuntuでの採用

Debianでは、バージョン5.0（コードネーム: lenny）から、デフォルトの/bin/shをdashに置き換えました。これにより、システム起動やスクリプト実行の高速化が実現しました。Ubuntuも同様に、2006年10月にリリースされた6.10から、デフォルトの/bin/shとしてdashを採用しています。

dash移行時の課題

Ubuntuでのdashへの移行作業では、多くのスクリプトがbashの使用を明示せずに、bash固有の機能を使用していることが判明しました。この問題を解決するために、bashを前提としたスクリプトには以下のいずれかの対応が必要となりました。

1. dashで動作するようにスクリプトを修正: POSIX標準に準拠した記述に修正します。
2. bashを明示的に使用するよう宣言: シバン行に「#!/usr/bin/env bash」のように記述し、スクリプトがbashで実行されるようにします。

これらの対応により、dash環境でもスクリプトが正しく動作するようになりました。dashは、システムの安定性と速度向上に貢献する重要なツールとなっています。

まとめ

dashは、軽量で高速なPOSIX互換シェルであり、DebianやUbuntuでデフォルトの/bin/shとして採用されています。これにより、システム起動やスクリプト実行が高速化され、システムの信頼性も向上しています。bashとの互換性には注意が必要ですが、正しく理解し対応することで、より効率的なシステム運用が可能となります。

関連情報

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* Shells in Debian

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